2010年12月03日

大阪に行ってきました

昨年,大豊刷毛ブラシ工業の社長さんから
「来年,今井さんと一緒に大阪に来ませんか?」というお話をいただき
このたび,それが実現しました。

生来 出不精なこともあって,大阪に行く機会など まずありませんから
ご招待に便乗して2泊3日で大阪に行ってきました。

28日(日)出発,群馬県の今井塗装の今井さんと新幹線の中で合流。
到着後,新大阪で待ち合わせた平下塗装の平下さんと8年ぶり?の再会。
しばし,お話ししてから,ホテルまで送ってもらい,
夕方,大豊刷毛ブラシ工業の社長さん&営業課長さんと食事会。

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明けて29日(月),朝一番で大豊刷毛ブラシ工業の本社見学。
「本社」とはいっても,箱物(ビル)じゃなく,民家の集合体。
近隣を飲み込みながら拡大した歴史がそのまま集約したような風情です。

そして,貸倉庫にて今回の主目的である「撮影」が行われました。
  ↓
虎シリーズローラー撮影風景


大豊刷毛ブラシ工業の「虎シリーズ」のローラーは,
2年前に群馬県の「クチキテック」の朽木さんから教えてもらいました。
以来,曽根塗装店で外壁・屋根の塗装で使用するローラーは
ほとんどが「虎シリーズ」に変わってしまったほど気に入っています。

「虎シリーズ」のローラーは毛の長さによって,
5ミリの「白虎」,10ミリの「赤虎」,12ミリの「黄虎」,
13ミリの「銀虎」,18ミリの「黒虎」と5種類あります。

その「虎シリーズ」に共通するのは,
「マイクロファイバー」という繊維が使われていることで,
要するに毛が細い。

上がごく一般的な従来品のローラー,下が「黒虎」です。
  ↓
従来品と「黒虎」


従来品のローラーを定規と一緒にズームマクロで撮った写真がコレ。
  ↓
従来品マクロ


そして,「マイクロファイバー」がコレ。
  ↓
黒虎マクロ


含みがよい,吐き出しがスムーズ,
飛散が少ない,発泡しにくい,
凹凸面によく馴染む,

という特徴があります。

大豊刷毛ブラシ工業では,それを映像化して営業に役立てたい
という意向があり,今回の撮影となったわけです。

今井さんと私と担当者の営業課長 岩本さんは,
何を準備して どういうシチュエーションで撮影すれば良いか,
事前に何度か相談して,この日に臨みました。

プロのカメラマンによる撮影は夕方まで続き,
いくつかは予想通り上手く撮影されましたが,
狙い通りには撮れなかった課題もあり,
それはなぜか?と考えると,
やはり「フィーリング」の領域なんですよね。

従来のフツーのローラーでも塗れないことはない。
でも,「虎」だと心地良く塗れる。
使ってみれば,わかる人にはわかる違い。
そういうレベルの差異は映像化が不可能なわけで。

当店で最も多用するのは18ミリの中長毛「黒虎」で,
最近シマシマを無くしたバージョンも発売されました。
  ↓
2種類の「黒虎」

リシンやスタッコの塗替え,それにカラーベストの塗装では
私的には,「黒虎」以上のローラーは無いと思います。

好みの問題もありますが,実際に試してみたい方は,
「シマシマのない黒虎」の有償サンプルを請求してみましょう。
(大豊刷毛ブラシ工業 06-6792-0388)

なお,撮影された映像は年内にDVD化されるそうなので
とても楽しみにしています。

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撮影後の打ち上げで「てっちり」をゴチになり,
ペンキ屋のくせにアルコールに強くない私は
それでもめちゃめちゃ旨いと思ったヒレ酒でふらふらになった翌日,
30日(火),メーカー2社へ見学。

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1社目はシーリング材・接着剤メーカーのシャープ化学工業です。
この日に合わせ,東京営業所の三田さんがいらして同行,
埋め立て地の工業団地内にある本社工場へ。
  ↓
シャープ化学工業本社工場

初対面の社長 村上さん自ら,工場内を案内してくださいました。
練って作っているところと,容器に充填するところが離れており,
両方を見せていただいた後,技術部門へ。

これまでにも何度かお会いして,
当店の現場にいらしたこともある開発課長の永江さんと再会し,
お話しした後,各種試験機などを見せていただきました。
特に興味深かったのは,やはり屋上にある曝露試験場です。

シーリング(コーキング)と塗装は
現場では かなり密接な関連があるのですが
塗料メーカーは現実的でない「後打ち」を推奨し,
シーリングメーカーは「確認してください」と
両者ともに逃げ腰です,普通は。

なので,ブリード防止の下塗塗料がぜんぜん効かなかったり
大手メーカーのノンブリードシーリングが実際はブリードしたり
といった困った現実があります。

しかるに,シャープ化学工業の偉いところは
自社製品と各メーカーの各種塗料との相性を
きちんと真面目に実験しているという点です。
ペンキ屋としては安心して使えます。

サイディング住宅でのシーリング打ち替えでは当店標準品の
「ヘンセイシリコーンNB-LM」は約50色をラインナップしており,
後打ちだけでなく,先打ちで後日塗膜が割れる想定でもグーです。
  ↓
ヘンセイシリコーンNB-LM色見本

また,昨年?発売された,高耐候で物性はLMの範囲内にあるという
アクリルシリコン系の「ペイントセラNB」と
「ヘンセイシリコーンNB-LM」との違いなど,
ちょっとややこしい話もしつつ,
あっという間にお昼になってしまいました。

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東京に戻る三田さんと新大阪で昼食後に別れ,
2社目,水谷ペイントへ。

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水谷ペイントでは,まずは社長さんがいらして,
創業85周年の「社史」をいただいたのですが,
私は,数ページにわたり“全社員の”写真が載せてある
ということに驚きました。(ヒューマンですねー)
  ↓
水谷ペイント社史

直前にシャープ化学工業へ伺ったことをお話しすると
村上社長と水谷社長とは友人関係だそうです。

さて,水谷ペイントは屋根用の塗料では有名な会社で,
近年は外壁用の塗料にも力を入れてきています。
会社の特徴としては,シリコン樹脂を自家製造している点でしょう。
(普通は塗料メーカーが原料として樹脂メーカーから購入します)
その反応釜を含め,1時間くらい工場内を案内していただきました。

そのあと,会議室にて,技術の方,開発企画の方,総勢5名の方と
2時間ほど多岐にわたりお話ししました。
(ちらっと,キューティーTOMOKOさんともお会いしました)
みなさん,各自ノートを持って,終始メモを取りながら話しているのが
たいへん印象的でした。
改善や開発のヒントを探そうと心掛けていることの現れでしょう。

最後に,見せるための実験装置的サンプル,をいただいたのですが,
私はこれにいたく感心しました。
どんなものかは,ここには書きませんけど,
圧倒的に無骨なところが実に水谷ペイントっぽくてすごくイイんです。

あれこれ お話ししているうちに5時を過ぎてしまい,
すっかり暗くなってしまいました。
  ↓
水谷ペイント本社工場


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大豊刷毛ブラシ工業,シャープ化学工業,水谷ペイントの皆々様,
暖かい歓待 どうもありがとうございました m(_ _)m

今回の見聞を今後の曽根塗装店の仕事に生かして参りたいと思います。

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2010年11月17日

板張りの家

本体の曽根塗装店HPは開設11年目に入りました。

ちょうど11年目の昨日 足場を外して完工となったお家は
HPからご依頼をいただいて2002年に施工させていただき,
8年8ヶ月後の今回で2回目のご依頼でした。

以下,初回お伺いした時からの写真をごらんください。

2002年1月撮影,当時築30年です。
(こちらは東南にあたります)
  ↓
施工前:2002年1月

時代的に考えて,当店が関わる直前の業者が使用した塗料は
「合成樹脂調合ペイント(SOP)」であろうと思われます。

このお家は南側のお隣に大きめのお家が わりと接近して建っていて
最も日射が強い時間帯はあまり日があたらないので
外壁の塗装にとっては長もちしやすい立地です。

しかし,塗装の剥がれが目立つだけでなく,所々板そのものが腐って
「麩菓子」のような状態になっているところがあったため,
補修工事を行い,あちこち合計で2坪分程度の板を張り替えてから
「弱溶剤2液形ウレタン樹脂塗料」を使用して塗装しました。
2002年2月撮影,仕上がりの写真です。
  ↓
施工後:2002年2月


その後,どうなっているか,3年後に見に行きました。
ごくわずかにツヤが落ちた程度で,全く問題ない状態でした。
2005年2月撮影です。
  ↓
施工3年後:2005年2月


さらに3年後(当店施工後6年目)また見に行きました。
まだツヤは残っていますが,明らかに色が褪せてきていました。
2008年2月撮影です。
  ↓
施工6年後:2008年2月


そして,今年の6月にご連絡をいただき,
再び外壁塗装を行うこととなりました。

当店施工後,8年と8ヶ月を経た状態です。
意外にも,6年目の状態とあまり変わらず,
剥がれることもなく頑張っていました。
2010年10月撮影です。
  ↓
施工8年8ヶ月後:2010年10月


足場を掛けて,相方と二人で丸2日間,
サンドペーパーでがしがしこすりまくりながらチェックした結果,
大工工事2人工+板金工事1人工の修繕工事を行い,
またしばらくはOKと思えるレベルに処置してから塗装しました。
一昨日,2010年11月16日撮影です。
  ↓
施工後:2010年11月


もう少し上を向いて撮ったのがこの写真です。
  ↓
施工後


足場を外す前に,印のところから撮ったのがこの写真です。
  ↓
足場から撮影

外壁の色は,前回の工事のときとほぼ同じ色で,
私のオヤジが「栗色」と言っていた,昔ながらの板下見の定番色です。
木枠は黒に少量の赤錆色を加えただけの(黄色を入れない)焦げ茶。
トタン部分の色は,古い10円玉をイメージして私が調色,
その色で雨樋も塗装しました。

同じ位置から,動画も。
(1280×720,いちおうHDでございます。
ぜひフルスクリーンでごらんください。)




今回は,「弱溶剤2液形ウレタン樹脂塗料」ではなく
「弱溶剤2液形シリコン樹脂塗料」を採用しました。
私の予想では,前回よりも色褪せが2〜3年遅くなるはずです。

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さて,このお家が今回で2回目のご依頼であることは
すでに冒頭に記しましたが,
「HPからのご依頼で施工させていただいたお家」という点では
初の「リピート様」であり,たいへんうれしく思いました。

そして,次のお家も「リピート様」です。
塗替物語,近々開始いたします。

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2010年09月28日

門扉の塗装

過去記事「鉄の塗装」のページのコメント欄

> めまいがするほど圧倒的な,あの重厚な門扉

と私が形容した門扉の塗り替えが今月上旬に終了。

施主様からご了承がいただけましたので,
「YouTube」に仕上がりの動画をアップしました。
  ↓


写真や動画で見るとなぜか実物より小さく見えるのですが
高さは 1.7メートル,横幅が 2.5メートル,それが2枚,
両端の柱と柱の間は5メートルあります。

電動で開閉して,車が出入りするための門で,
重量は1枚で2トンあるそうです。
(2トン=大きめの乗用車と同じくらいの重さです)

中央部の,微妙に屈曲しながら並んでいる部材の断面は,
角度によって向こう側が見える「ブラインド」のように

///////////////////////////

となっているのではなくて,

<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<

となっていて向こう側が見えないように出来ています。

しかも,1本1本異なるその部材で表現された “波”は
垂直方向だけでなく水平方向にも及んでいて,
外枠の“面”(ツラ)をはみ出してうねっているのです。

もし仮に,この門の模型を「紙」で作るとしても
驚異的に難易度が高いと思われます。
しかるに,鉄板の厚さは5ミリ,言うまでもなく,
とうていハサミで切れるような厚さではないのです。

関西の「ロートアイアン」の工房で作製されたとお聞きして
門扉 鉄」「wrought iron gate」といった検索を行ってみました。

が,しかし,出てくる写真は,「ロートアイアン」のイメージ通り,
捻った角棒,蔓草のようなカーブ,矢じりのような先端,
といったステレオタイプのバリエーションがほとんで,
この門扉と類似性の感じられるものは,
まったく見当たりませんでした。

今回作業しながら幾たびも舐めるように細部まで見ました。
見飽きることなく見れば見るほど魅了され,
「鋼鉄のペーパークラフト」とでもいうべき
恐るべき作り込みには ほんとうに惚れ惚れしました。

昨今『100年住宅』という宣伝文句を見かけることはあっても
現在の日本の住宅が ほんとうに50年以上残ることは
まず無いでしょう。
でも,私の個人的な希望として,この門だけでも,
この先100年200年と末永く残していって欲しいと願います。
  
鉄の門扉(Automatic Wrought Iron Gates)


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店主
曽根匡史 1961年 A型

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