2010年02月02日
ベランダの笠木
今年は雪は降らないのではないか,と楽観していましたが,
降っちゃいましたね。
また更新しときます。
今回のお題は,「ベランダの笠木」です。
当店で施工させていただくことになるかもしれないお宅のための
ご説明なんですけど,実は。
以下,すごく長いです。
---------------------------------------------------
花壇の下地補修と鉄扉の塗装でもネタにさせていただいたお宅では
ベランダの外側に板が張ってありました。
ご覧の通り,経年劣化で板が反ってしまっていたので,
張り替えることに決定。
↓
板を剥がしてみたら,内側が腐ってました。
↓
外側からはぜんぜんわかりませんでした。
どこから水が入ったのか,よ〜く見ると,手すりの支柱の根元らしい。
根元の部材とトタンとの間には厚さ1ミリ位の
ゴムパッキンが入っているのですが,
ちょうど笠木のトタンの継目に支柱があるために段差で隙間が生じ,
ゴムパッキンが効かなかったようです。
↓
上のところのトタンの裏側の写真がこれです。
↓
アルミの手すりは取外し,笠木のトタンは切断,腐った木材は交換。
↓
トタンは3回塗りして,アルミの手すりに合わせた色で仕上げ,
アルミの手すりを復旧。
復旧の際には,ねじ穴から水が入らないように,
シーリング(コーキング)注入。
↓
↓
ゴムパッキンを置いて,
↓
元通りに手すりを復旧した後,念のため,さらに
根元の部品の外周にシーリング
↓
↓
これが施工中
↓
これが施工後
↓
話は本題からズレますが,
外側の板は張ってしまった後には
裏側はもちろん重ね目も塗れなくなりますから,
張る前に部材の状態で表裏両面2回塗りました。
↓
張ってからもう1回,表側に3回目を塗装して完了です。
↓
塗料は表面に膜を作らない浸透性の
防腐防虫木部保護着色塗料=WPステイン。
(「キシラデコール」「ノンロット」が有名です)
ウッドデッキや濡れ縁などによく使われる塗料ですが,
採用に当っては,接合部からの吸水が腐る原因になるため,
新設時には部材の状態で2回塗ってから組み立て,
組み上がってから最後にもう1回塗るというのが理想的です。
しかし,理想的に施工されることは,ほぼ絶無に近いでしょう。
実際,昔,新築工事の下請をしていた頃に,
そういう見積書を作って あっさり拒否られてますから (^^;)
---------------------------------------------------
話を本題,「ベランダの笠木」に戻します。
以上の事例のように,
上から打ち込んであるビスが貫通している「笠木」は,
無神経な施工をすると水が入って内側の木材が腐る,
というのは,過去にも経験しています。
なので,「これはマズイのではないか?」と思う場合,
取り外してシーリングするということを
過去に何度もやっています。
この写真は一昨年の夏に施工したお宅で,
やはり,笠木はトタン,手すりはアルミです。
↓
冒頭のお宅では,笠木の上には水が溜まらないように
ぱっと見ただけではわからないくらい微妙に,
内側に向けて傾斜が付けてありました。
(アルミ屋は無神経だったけど,大工さんは繊細だったわけです)
が,このお宅では,そのような繊細な配慮は無く平坦。
手すりの根元が微妙に凹んで水が溜まり,トタンが錆びてます。
取り外してみると,「チューインガム」のようなパッキンが
挟んでありました。
↓
チューインガムを撤去してサンドペーパーですりすり。
↓
錆止塗料を塗付して,乾いてから,
ねじ穴にシーリングを入れ込んで復旧。
↓
↓
アルミの手すりも古ぼけていたので,目荒らしして下塗,
そのあとに,笠木と手すりを2回上塗りして出来上がり。
↓
トタンの継目にも細工してあります ↑
それはまた別の,昨年秋に施工したお宅の写真で
以下,解説いたします。
継目には「シリコン」のシーリングが付けてあります。
これが,トタンの合わせ目の内側までしっかり入っていれば
そのままでも構わないのですが,外からでは確認不可。
よって,この上にシーリングを重ねて打ちます。
まずは,「ラーメン」状のサンドペーパーですりすり。
↓
「シリコン」のシーリングは安くて丈夫ですが,
塗料をはじいてしまうため,「シリコン」の重ね打ちはしたくない。
なので,とりあえず「シープラ/関西ペイント」を塗ります。
↓
「シープラ」が乾いてから,マスキングテープを貼ります。
↓
その上に5ミリ角の「バックアップ材」を貼り付けます。
↓
シーリングは薄いと もたないので,
厚みを確保するため,「バックアップ材」で土手を作るわけです。
↓
接着剤的液体「プライマー」の塗付,乾燥後,
土手を埋めるようにシーリング(変成シリコン)。
↓
数日置いて硬化したら,土手とテープを除去して,
出来上がった5ミリ厚のシーリングの真上と外側に
またマスキングテープを貼ります。
↓
斜めにシーリングして,テープを除去したところです。
↓
この方法は,「ブリッジ」とか「ブリッジシール」といいます。
※「バックアップ材」は「発泡ポリエチレン」で,
プライマーを塗ってからシーリングしても密着しません。
このあと,手すりは取り外して,
「ブリッジ」の上にまた「シープラ」を塗付,
トタンには錆止塗料を塗付,
上塗を2回塗付して手すりと同じ色に仕上げた後,
シーリングを入れ込みながら手すりを復旧して完了。
↓
---------------------------------------------------
さて,以上は,
笠木はトタン,手すりはアルミ,というパターンでしたが,
笠木も手すりもアルミ,ということもあります。
でも,油断はできません。
また別のお宅ですが,継目に「シリコン」のシーリングが
なんとなく詰めてあるだけ,というズサンな場合もあります。
↓
内側の壁の断面(上面)に何も防水的処置がされていないとしたら,
当然水が入りますから,ブリッジシールが望ましいです。
そして,実際に弊害が生じていた例です。(また別のお宅です)
写真の赤丸のところ,錆汁が出てます。
↓
アルミの笠木には樹脂製のカバーが付いています。
↓
とりあえず,カバーを外してみると,
もし水が入っても,外側に流れ出るように,
ちゃんと内側に金具が仕込んであることがわかりました。
↓
とすると,錆汁の原因は,手すりの支柱の根元しかないので,
(できればやりたくなかったんですが)手すりをバラします。
まず,丸棒を外す。
↓
次に丸棒の取付金具と支柱のカバーを外す。
↓
丸印のところにあるのは,錆びたネジの頭。
もはやドライバーで回せる状態ではないです。
↓
ステンレスのネジじゃないことに苛立ちを禁じ得ませんが,
仕方がないので頭をヤスリで削り落とします。
↓
支柱は白いアルミの筒が差し込んであり,
それを抜くと,ようやく,支柱のカバーの「受け」が取れました。
↓
やはりここが原因です。
↓
「受け」と笠木の間には ちゃちなパッキンが入っていましたが
劣化してこの通り。(築13年です)
↓
支柱の芯と笠木の間に,
↓
シーリングをたっぷり入れ込みます。
↓
支柱を復旧後,さらにカバーの上下にシーリング。
↓
↓
このお宅はベランダが2つあって,2つとも同じことをしたので,
手すりをいじってただけで丸1日かかりました (TT)
↓
いっそのこと,撤去して廃棄,新品に交換した方が早いし
確実なので,実際そうしたこともありますが,
かかる費用を考えるとなかなかそうもいかんので,
実用上支障がなければ,妥協します。
---------------------------------------------------
以上のようなことは,はっきり言って,えらいめんどくさい(爆)
こんな,足場取っちゃったらぜんぜんわかんないようなことを
チマチマとやっている間に,外壁が何十平米も塗れるわけで。
しかし,内側が腐ってるのを見たことがある私としては
すごくめんどくさいけど,やっておきたいと思うわけです。
怪しそうな場合は。
降っちゃいましたね。
また更新しときます。
今回のお題は,「ベランダの笠木」です。
当店で施工させていただくことになるかもしれないお宅のための
ご説明なんですけど,実は。
以下,すごく長いです。
---------------------------------------------------
花壇の下地補修と鉄扉の塗装でもネタにさせていただいたお宅では
ベランダの外側に板が張ってありました。
ご覧の通り,経年劣化で板が反ってしまっていたので,
張り替えることに決定。
↓
板を剥がしてみたら,内側が腐ってました。
↓
外側からはぜんぜんわかりませんでした。
どこから水が入ったのか,よ〜く見ると,手すりの支柱の根元らしい。
根元の部材とトタンとの間には厚さ1ミリ位の
ゴムパッキンが入っているのですが,
ちょうど笠木のトタンの継目に支柱があるために段差で隙間が生じ,
ゴムパッキンが効かなかったようです。
↓
上のところのトタンの裏側の写真がこれです。
↓
アルミの手すりは取外し,笠木のトタンは切断,腐った木材は交換。
↓
トタンは3回塗りして,アルミの手すりに合わせた色で仕上げ,
アルミの手すりを復旧。
復旧の際には,ねじ穴から水が入らないように,
シーリング(コーキング)注入。
↓
↓
ゴムパッキンを置いて,
↓
元通りに手すりを復旧した後,念のため,さらに
根元の部品の外周にシーリング
↓
↓
これが施工中
↓
これが施工後
↓
話は本題からズレますが,
外側の板は張ってしまった後には
裏側はもちろん重ね目も塗れなくなりますから,
張る前に部材の状態で表裏両面2回塗りました。
↓
張ってからもう1回,表側に3回目を塗装して完了です。
↓
塗料は表面に膜を作らない浸透性の
防腐防虫木部保護着色塗料=WPステイン。
(「キシラデコール」「ノンロット」が有名です)
ウッドデッキや濡れ縁などによく使われる塗料ですが,
採用に当っては,接合部からの吸水が腐る原因になるため,
新設時には部材の状態で2回塗ってから組み立て,
組み上がってから最後にもう1回塗るというのが理想的です。
しかし,理想的に施工されることは,ほぼ絶無に近いでしょう。
実際,昔,新築工事の下請をしていた頃に,
そういう見積書を作って あっさり拒否られてますから (^^;)
---------------------------------------------------
話を本題,「ベランダの笠木」に戻します。
以上の事例のように,
上から打ち込んであるビスが貫通している「笠木」は,
無神経な施工をすると水が入って内側の木材が腐る,
というのは,過去にも経験しています。
なので,「これはマズイのではないか?」と思う場合,
取り外してシーリングするということを
過去に何度もやっています。
この写真は一昨年の夏に施工したお宅で,
やはり,笠木はトタン,手すりはアルミです。
↓
冒頭のお宅では,笠木の上には水が溜まらないように
ぱっと見ただけではわからないくらい微妙に,
内側に向けて傾斜が付けてありました。
(アルミ屋は無神経だったけど,大工さんは繊細だったわけです)
が,このお宅では,そのような繊細な配慮は無く平坦。
手すりの根元が微妙に凹んで水が溜まり,トタンが錆びてます。
取り外してみると,「チューインガム」のようなパッキンが
挟んでありました。
↓
チューインガムを撤去してサンドペーパーですりすり。
↓
錆止塗料を塗付して,乾いてから,
ねじ穴にシーリングを入れ込んで復旧。
↓
↓
アルミの手すりも古ぼけていたので,目荒らしして下塗,
そのあとに,笠木と手すりを2回上塗りして出来上がり。
↓
トタンの継目にも細工してあります ↑
それはまた別の,昨年秋に施工したお宅の写真で
以下,解説いたします。
継目には「シリコン」のシーリングが付けてあります。
これが,トタンの合わせ目の内側までしっかり入っていれば
そのままでも構わないのですが,外からでは確認不可。
よって,この上にシーリングを重ねて打ちます。
まずは,「ラーメン」状のサンドペーパーですりすり。
↓
「シリコン」のシーリングは安くて丈夫ですが,
塗料をはじいてしまうため,「シリコン」の重ね打ちはしたくない。
なので,とりあえず「シープラ/関西ペイント」を塗ります。
↓
「シープラ」が乾いてから,マスキングテープを貼ります。
↓
その上に5ミリ角の「バックアップ材」を貼り付けます。
↓
シーリングは薄いと もたないので,
厚みを確保するため,「バックアップ材」で土手を作るわけです。
↓
接着剤的液体「プライマー」の塗付,乾燥後,
土手を埋めるようにシーリング(変成シリコン)。
↓
数日置いて硬化したら,土手とテープを除去して,
出来上がった5ミリ厚のシーリングの真上と外側に
またマスキングテープを貼ります。
↓
斜めにシーリングして,テープを除去したところです。
↓
この方法は,「ブリッジ」とか「ブリッジシール」といいます。
※「バックアップ材」は「発泡ポリエチレン」で,
プライマーを塗ってからシーリングしても密着しません。
このあと,手すりは取り外して,
「ブリッジ」の上にまた「シープラ」を塗付,
トタンには錆止塗料を塗付,
上塗を2回塗付して手すりと同じ色に仕上げた後,
シーリングを入れ込みながら手すりを復旧して完了。
↓
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さて,以上は,
笠木はトタン,手すりはアルミ,というパターンでしたが,
笠木も手すりもアルミ,ということもあります。
でも,油断はできません。
また別のお宅ですが,継目に「シリコン」のシーリングが
なんとなく詰めてあるだけ,というズサンな場合もあります。
↓
内側の壁の断面(上面)に何も防水的処置がされていないとしたら,
当然水が入りますから,ブリッジシールが望ましいです。
そして,実際に弊害が生じていた例です。(また別のお宅です)
写真の赤丸のところ,錆汁が出てます。
↓
アルミの笠木には樹脂製のカバーが付いています。
↓
とりあえず,カバーを外してみると,
もし水が入っても,外側に流れ出るように,
ちゃんと内側に金具が仕込んであることがわかりました。
↓
とすると,錆汁の原因は,手すりの支柱の根元しかないので,
(できればやりたくなかったんですが)手すりをバラします。
まず,丸棒を外す。
↓
次に丸棒の取付金具と支柱のカバーを外す。
↓
丸印のところにあるのは,錆びたネジの頭。
もはやドライバーで回せる状態ではないです。
↓
ステンレスのネジじゃないことに苛立ちを禁じ得ませんが,
仕方がないので頭をヤスリで削り落とします。
↓
支柱は白いアルミの筒が差し込んであり,
それを抜くと,ようやく,支柱のカバーの「受け」が取れました。
↓
やはりここが原因です。
↓
「受け」と笠木の間には ちゃちなパッキンが入っていましたが
劣化してこの通り。(築13年です)
↓
支柱の芯と笠木の間に,
↓
シーリングをたっぷり入れ込みます。
↓
支柱を復旧後,さらにカバーの上下にシーリング。
↓
↓
このお宅はベランダが2つあって,2つとも同じことをしたので,
手すりをいじってただけで丸1日かかりました (TT)
↓
いっそのこと,撤去して廃棄,新品に交換した方が早いし
確実なので,実際そうしたこともありますが,
かかる費用を考えるとなかなかそうもいかんので,
実用上支障がなければ,妥協します。
---------------------------------------------------
以上のようなことは,はっきり言って,えらいめんどくさい(爆)
こんな,足場取っちゃったらぜんぜんわかんないようなことを
チマチマとやっている間に,外壁が何十平米も塗れるわけで。
しかし,内側が腐ってるのを見たことがある私としては
すごくめんどくさいけど,やっておきたいと思うわけです。
怪しそうな場合は。