2009年09月
2009年09月30日
シーリング(コーキング)
新作ビデオです。
↓
本編「サイディング外壁のコーキング」を作るのは
かな〜り時間がかかるので,番外編の小ネタからいきました。
--------------------------------------------------------
先日,お世話になっているシーリングメーカーの営業の方が
技術の方を連れて来られて,紹介していただきました。
後日,ペンキ屋としての疑問と要望をメール。
塗料の場合は,1液形よりも2液形の方が圧倒的に優れています。
ならば,シーリングもそうなのでしょうか?
でも,数年前,コーキング打ち替えを防水業者に依頼,
主剤と硬化剤と色粉を現場で混合する2成分形の
サイディング用変成シリコンを使用してもらいましたが,
その後の経過が1成分形より良い,とは思えませんでした。
(施工前の状態が特に悪かったので5年間毎年見に行きました)
そのへんが質問のメインです。
回答の結果,やはりシーリングも2成分形の方が良いならば,
2成分形へ切り替えようか,と考えていたのです。
(シーリングの場合は2成分形の材料の方が安上がりです)
しかし,『個人的な見解』としていただいた文中では
一概に1液2液どちらが高性能という議論はできない
とのことで,以下大雑把なまとめ
弾性復元性が高いのは2成分形であり,その意味では高性能
弾性復元性が良いシーリング材をサイディング目地に適用すると
界面剥離のリスクが高い
(戻ろうとする力が強いので剥がれたり裂けたりしやすい)
応力を受けてから次第に緩和されて内部応力が弱まっていく
応力緩和タイプの方が剥離リスクが低減される
(応力緩和と弾性復元性は矛盾する)
サイディング用シーリング材は応力緩和タイプが多い
2成分形は失活せずに残存する触媒(硬化剤に含まれる成分)により,
紫外線・熱・湿気・サイディングの動きといった複合状況下で
発泡現象が発生する場合がある
専門用語続出の回答を私なりに咀嚼した末,
『応力緩和タイプ』の1成分形という結論になりました。
--------------------------------------------------------
この回答をくださった方のメーカー「シャープ化学工業」では
最近,「変成シリコン」ではなく「アクリルシリコン」として
耐候性をアップした「ペイントセラNB」を上市しました。
「ペイントセラNB」は現状でもサイディングに使用可能ですが
私が思うには,塗り替えの場合は露出でなく塗膜で覆うので,
耐候性よりもモジュラスが低いことのほうが重要。
よって,現在は「ヘンセイシリコーンLM」を使用しています。
ところが,近々,「ペイントセラNB」をマイナーチェンジして
さらにLM化するかもしれないそうです。
もし「ヘンセイシリコーンLM」よりもLM化されたらシフトします。
(いつものテストピースお待ちしております)
↓
本編「サイディング外壁のコーキング」を作るのは
かな〜り時間がかかるので,番外編の小ネタからいきました。
--------------------------------------------------------
先日,お世話になっているシーリングメーカーの営業の方が
技術の方を連れて来られて,紹介していただきました。
後日,ペンキ屋としての疑問と要望をメール。
塗料の場合は,1液形よりも2液形の方が圧倒的に優れています。
ならば,シーリングもそうなのでしょうか?
でも,数年前,コーキング打ち替えを防水業者に依頼,
主剤と硬化剤と色粉を現場で混合する2成分形の
サイディング用変成シリコンを使用してもらいましたが,
その後の経過が1成分形より良い,とは思えませんでした。
(施工前の状態が特に悪かったので5年間毎年見に行きました)
そのへんが質問のメインです。
回答の結果,やはりシーリングも2成分形の方が良いならば,
2成分形へ切り替えようか,と考えていたのです。
(シーリングの場合は2成分形の材料の方が安上がりです)
しかし,『個人的な見解』としていただいた文中では
一概に1液2液どちらが高性能という議論はできない
とのことで,以下大雑把なまとめ
弾性復元性が高いのは2成分形であり,その意味では高性能
弾性復元性が良いシーリング材をサイディング目地に適用すると
界面剥離のリスクが高い
(戻ろうとする力が強いので剥がれたり裂けたりしやすい)
応力を受けてから次第に緩和されて内部応力が弱まっていく
応力緩和タイプの方が剥離リスクが低減される
(応力緩和と弾性復元性は矛盾する)
サイディング用シーリング材は応力緩和タイプが多い
2成分形は失活せずに残存する触媒(硬化剤に含まれる成分)により,
紫外線・熱・湿気・サイディングの動きといった複合状況下で
発泡現象が発生する場合がある
専門用語続出の回答を私なりに咀嚼した末,
『応力緩和タイプ』の1成分形という結論になりました。
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この回答をくださった方のメーカー「シャープ化学工業」では
最近,「変成シリコン」ではなく「アクリルシリコン」として
耐候性をアップした「ペイントセラNB」を上市しました。
「ペイントセラNB」は現状でもサイディングに使用可能ですが
私が思うには,塗り替えの場合は露出でなく塗膜で覆うので,
耐候性よりもモジュラスが低いことのほうが重要。
よって,現在は「ヘンセイシリコーンLM」を使用しています。
ところが,近々,「ペイントセラNB」をマイナーチェンジして
さらにLM化するかもしれないそうです。
もし「ヘンセイシリコーンLM」よりもLM化されたらシフトします。
(いつものテストピースお待ちしております)
2009年09月23日
鉄扉の塗装
今月上旬に完工した川崎市の花壇のお宅には
ガレージの左右に玄関と庭に至る2枚の鉄扉
=鉄製のドアがあります。
こちらは玄関側です。
↓
下の方と,ぶつけたところが少々錆びているほか,
前回の塗装がところどころ剥がれてきている状態です。
↓
剥がれたところを観察して我思うに,おそらく,
前業者はローラーで1回塗りしただけです。
全体的に元の色が透けてましたし。
早く安く済ませる(あるいは儲ける)ためには
それが一番の上策でしょう。
ちゃちゃっと軽く,2分くらい,
サンドペーパーでなくマジックロンでこすって,
「1液ファインウレタン」とかの,
SOPよりはツヤがよい安いネタを1発,
ローラーでコロコロしただけでも結構キレイにはなります。
屋内のどうでもいいドアならそれでもいいかもしれません。
でも,このドアは雨が降ると濡れるところにあるので
サンドペーパーでガシガシこすってから錆止を塗りたい。
上塗はやはり2液形の塗料を2回塗って艶々にしたい。
私はそういう見積書を作りました。
ところが,試しに,ぶつけて剥がれたところに,
ちょっと,「超硬スクレーパー」を当ててみると
頼りなくパリパリと剥がれてしまうのでした。
う〜ん。
「塗料」は塗ってから硬化・乾燥して「塗膜」になります。
言い換えると,「液体」から「固体」になる。
その過程で体積の減少に伴い収縮して,下地を引っ張る力が働く。
よって,理想を言えば,
素地と既存塗膜がしっかり密着しているとは言い難い場合,
一旦全部剥がして素地(鉄面)を露出させ,
リセットしてからきっちり再塗装したい。
私は3年ごとくらいに自分の塗った現場を見に行くので,
そのときにヘンな剥がれかたをしていたら気分が悪いし。
でもなあ,と,迷っていました。
(サンドペーパーと総剥離では全然手間が違いますから)
で,一服の時,相方に,ちっとコレでやってみ
と,超硬スクレーパーを渡すと,
「コレ全剥がしでつね」と,あっさり言うのでした。
(註:相方の口調は「長州小力」に似てます)
やっぱそうだよな,と妙に納得して,
暴走してしまうことに決めました。
ドア枠からケレン開始。
↓
ドア本体もガリガリいきます。
↓
※ここをクリックすると鉄扉の2種ケレンの動画が見られます。
http://sone-tosouten.org/movies/d04v.wmv
こちらは庭に通じるドア,床面の間隔が狭く,指も入りません。
↓
しょうがないので,取り外しました。(すごく重い!)
↓
ドアの底面を見ると,工場出荷状態のまま新築時から今まで23年間,
一度も塗られてなくて,錆びて穴が開いてました。
↓
このドアの底面だけ先に仕上げてしまうことにして,
2液形の錆止塗料を段取りして塗付。
↓
翌日午前中,上塗1回目を塗付。
(午後にもう1回塗って仕上げ)
↓
溶接のところにはパテ処理の痕跡がありましたけど
超硬スクレーパーで全部剥がしたあと,
さらにサンドペーパーでガシガシやった結果,
跡形もなく消失。
このまま仕上げたら「睨む」(目立つ)よなあ,
つうことで,パテかうことにしました。
↓
通常は研ぎやすい「ポリパテ」を使うと思いますが,
「エポキシ」でもサンダー掛けちゃえばいいだろう,と軽く考えて
「クイックメンダー」を使用。
↓
ドアの上面は鉄板を貼り合わせている部分に隙間があって,
内側で錆びてたので,がっつり「クイックメンダー」で埋めました。
↓
「クイックメンダー」は硬いくせに微妙に粘りがあって,
サンドペーパーでは研げませんから,翌々日,
ランダムアクションサンダーですりすり。
↓
この状態を
↓
このくらいに。
↓
こんなに削っちゃうならもっと少なく付ければいいじゃん
と,思われるかもしれませんが,
「クイックメンダー」はポリパテとか内装用のパテと違って,
すごくねちょねちょしてるのでムリなんです。
底の部分だけ先に仕上げた,取り外した方のドアは復旧。
↓
もう片方の玄関側のドアも同様に素地調整してあります。
↓
錆止塗料は弱溶剤(つっても専用シンナー)の2液エポキシ。
この日の段取りの様子を撮ったビデオが「2液形塗料の配合」です。
↓
指定通り30分間「熟成」させてから,ハケ塗りします。
↓
平刷毛は「貴族」,目地刷毛は「水星」,
隅切は「祭」(「白銀」同等品?),以上はマルテー。
筋違だけは青井さんに教えてもらったマルヨシ「宇宙」。
(この4本で8000円くらいします)
玄関側のドア,錆止塗り終了の状況です。
↓
こっちのドアは床面との間隔が5センチほどあって,
取り外さなかったので底の部分は鏡で確認しながら塗付。
(やはり過去一度も塗られていませんでした)
↓
しか〜し,「クイックメンダー」が硬すぎたのか,
サンダーのパッドがミディアムだったのがマズかったのか,
あるいはネタを乗せすぎたのか,
微妙に残っていた凹凸から流れてます orz
↓
翌日,ペーパーを320番にしてサンディング。
↓
この錆止塗料はセルフレベリング性が低いです。
垂れにくく作ってあって結構厚く塗れる代わりに,
ボテボテで刷毛目が出やすいわけです。(希釈5%だし)
サンダーで刷毛目全部削っちゃいたいところですが
歪んでいる素地が露出してしまうのでこのくらいで止め。
↓
上塗は弱溶剤2液形シリコン樹脂塗料,希釈は4%,塗料名はヒミツです。
↓
ドアの底もしつこく塗り塗り。
↓
翌日,もう1回塗って,やや乾いてきたところの写真です。
↓
事務所とかマンションの鉄扉の場合,「刷毛目が汚い」という理由で
元請様から短毛ローラーで塗ることを指定されるのが普通だそうですが,
いくら短毛ローラーでも,こういう肌には仕上がりませんし,
だいたい,膜厚が付かない。
刷毛目は確かに出ますけど,私はこっちの方が断然好きなので,
曽根塗装店の場合,タイル調サイディングの2色塗り分け以外で
短毛ローラーを使うことは ほぼ絶無です。
↓
※ここをクリックすると ややフェティッシュな動画が見られます。
http://sone-tosouten.org/movies/d28v.wmv
これが施工前。
↓
これが施工後。
↓
復旧の際にドアチェックを調整,固定位置を外側にずらしました。
なるべくぶつからないように。
ガレージの左右に玄関と庭に至る2枚の鉄扉
=鉄製のドアがあります。
こちらは玄関側です。
↓
下の方と,ぶつけたところが少々錆びているほか,
前回の塗装がところどころ剥がれてきている状態です。
↓
剥がれたところを観察して我思うに,おそらく,
前業者はローラーで1回塗りしただけです。
全体的に元の色が透けてましたし。
早く安く済ませる(あるいは儲ける)ためには
それが一番の上策でしょう。
ちゃちゃっと軽く,2分くらい,
サンドペーパーでなくマジックロンでこすって,
「1液ファインウレタン」とかの,
SOPよりはツヤがよい安いネタを1発,
ローラーでコロコロしただけでも結構キレイにはなります。
屋内のどうでもいいドアならそれでもいいかもしれません。
でも,このドアは雨が降ると濡れるところにあるので
サンドペーパーでガシガシこすってから錆止を塗りたい。
上塗はやはり2液形の塗料を2回塗って艶々にしたい。
私はそういう見積書を作りました。
ところが,試しに,ぶつけて剥がれたところに,
ちょっと,「超硬スクレーパー」を当ててみると
頼りなくパリパリと剥がれてしまうのでした。
う〜ん。
「塗料」は塗ってから硬化・乾燥して「塗膜」になります。
言い換えると,「液体」から「固体」になる。
その過程で体積の減少に伴い収縮して,下地を引っ張る力が働く。
よって,理想を言えば,
素地と既存塗膜がしっかり密着しているとは言い難い場合,
一旦全部剥がして素地(鉄面)を露出させ,
リセットしてからきっちり再塗装したい。
私は3年ごとくらいに自分の塗った現場を見に行くので,
そのときにヘンな剥がれかたをしていたら気分が悪いし。
でもなあ,と,迷っていました。
(サンドペーパーと総剥離では全然手間が違いますから)
で,一服の時,相方に,ちっとコレでやってみ
と,超硬スクレーパーを渡すと,
「コレ全剥がしでつね」と,あっさり言うのでした。
(註:相方の口調は「長州小力」に似てます)
やっぱそうだよな,と妙に納得して,
暴走してしまうことに決めました。
ドア枠からケレン開始。
↓
ドア本体もガリガリいきます。
↓
※ここをクリックすると鉄扉の2種ケレンの動画が見られます。
http://sone-tosouten.org/movies/d04v.wmv
こちらは庭に通じるドア,床面の間隔が狭く,指も入りません。
↓
しょうがないので,取り外しました。(すごく重い!)
↓
ドアの底面を見ると,工場出荷状態のまま新築時から今まで23年間,
一度も塗られてなくて,錆びて穴が開いてました。
↓
このドアの底面だけ先に仕上げてしまうことにして,
2液形の錆止塗料を段取りして塗付。
↓
翌日午前中,上塗1回目を塗付。
(午後にもう1回塗って仕上げ)
↓
溶接のところにはパテ処理の痕跡がありましたけど
超硬スクレーパーで全部剥がしたあと,
さらにサンドペーパーでガシガシやった結果,
跡形もなく消失。
このまま仕上げたら「睨む」(目立つ)よなあ,
つうことで,パテかうことにしました。
↓
通常は研ぎやすい「ポリパテ」を使うと思いますが,
「エポキシ」でもサンダー掛けちゃえばいいだろう,と軽く考えて
「クイックメンダー」を使用。
↓
ドアの上面は鉄板を貼り合わせている部分に隙間があって,
内側で錆びてたので,がっつり「クイックメンダー」で埋めました。
↓
「クイックメンダー」は硬いくせに微妙に粘りがあって,
サンドペーパーでは研げませんから,翌々日,
ランダムアクションサンダーですりすり。
↓
この状態を
↓
このくらいに。
↓
こんなに削っちゃうならもっと少なく付ければいいじゃん
と,思われるかもしれませんが,
「クイックメンダー」はポリパテとか内装用のパテと違って,
すごくねちょねちょしてるのでムリなんです。
底の部分だけ先に仕上げた,取り外した方のドアは復旧。
↓
もう片方の玄関側のドアも同様に素地調整してあります。
↓
錆止塗料は弱溶剤(つっても専用シンナー)の2液エポキシ。
この日の段取りの様子を撮ったビデオが「2液形塗料の配合」です。
↓
指定通り30分間「熟成」させてから,ハケ塗りします。
↓
平刷毛は「貴族」,目地刷毛は「水星」,
隅切は「祭」(「白銀」同等品?),以上はマルテー。
筋違だけは青井さんに教えてもらったマルヨシ「宇宙」。
(この4本で8000円くらいします)
玄関側のドア,錆止塗り終了の状況です。
↓
こっちのドアは床面との間隔が5センチほどあって,
取り外さなかったので底の部分は鏡で確認しながら塗付。
(やはり過去一度も塗られていませんでした)
↓
しか〜し,「クイックメンダー」が硬すぎたのか,
サンダーのパッドがミディアムだったのがマズかったのか,
あるいはネタを乗せすぎたのか,
微妙に残っていた凹凸から流れてます orz
↓
翌日,ペーパーを320番にしてサンディング。
↓
この錆止塗料はセルフレベリング性が低いです。
垂れにくく作ってあって結構厚く塗れる代わりに,
ボテボテで刷毛目が出やすいわけです。(希釈5%だし)
サンダーで刷毛目全部削っちゃいたいところですが
歪んでいる素地が露出してしまうのでこのくらいで止め。
↓
上塗は弱溶剤2液形シリコン樹脂塗料,希釈は4%,塗料名はヒミツです。
↓
ドアの底もしつこく塗り塗り。
↓
翌日,もう1回塗って,やや乾いてきたところの写真です。
↓
事務所とかマンションの鉄扉の場合,「刷毛目が汚い」という理由で
元請様から短毛ローラーで塗ることを指定されるのが普通だそうですが,
いくら短毛ローラーでも,こういう肌には仕上がりませんし,
だいたい,膜厚が付かない。
刷毛目は確かに出ますけど,私はこっちの方が断然好きなので,
曽根塗装店の場合,タイル調サイディングの2色塗り分け以外で
短毛ローラーを使うことは ほぼ絶無です。
↓
※ここをクリックすると ややフェティッシュな動画が見られます。
http://sone-tosouten.org/movies/d28v.wmv
これが施工前。
↓
これが施工後。
↓
復旧の際にドアチェックを調整,固定位置を外側にずらしました。
なるべくぶつからないように。
2009年09月21日
2液形塗料の配合
「YouTube」に「2液形塗料の配合」をアップロードしました。
まずは,ご覧ください↓
当店では使用している塗料の多くが2液形です。
上級仕様の場合には,1軒丸ごと,
ほとんどが2液形ということもあります。
「主剤」と「硬化剤」を混合してから使えなくなるまでの時間
=「可使時間」「ポットライフ」が短くなる夏期は特に,
1日に何度もこの作業を行ないます。
今まで,この作業にどのくらい時間がかかってるか,
あまり意識していませんでしたが,
今回撮影してみると,およそ6分もかかっており,う〜ん。
2液形の塗料は計量・混合・撹拌に手間がかかるだけでなく,
ローラーで塗れば,それが1時間でも使い捨てになりますから
1液形の塗料を使用する場合に比べたらロスが多いです。
なので,私とて,できれば1液形で済ませたいわけですが,
2液形が市場から無くならないところをみても,
2液形の優位性は当分続くと思われます。
この動画は,先にアップされた今井塗装さんの動画を見て,
撮ってみたものです。
見比べると,やり方の違いがあって,面白いです (^^)
ちなみに,「ええっ? 秤,使ってるんですか !?」(゚Д゚;)
と塗料メーカーの方に驚かれたことがあります。
その人,秤を使うペンキ屋は見たことがないんだそうです。
秤を持ってない「1級塗装技能士の店」も知っていますので
そんなもんかもしれませんね。
まずは,ご覧ください↓
当店では使用している塗料の多くが2液形です。
上級仕様の場合には,1軒丸ごと,
ほとんどが2液形ということもあります。
「主剤」と「硬化剤」を混合してから使えなくなるまでの時間
=「可使時間」「ポットライフ」が短くなる夏期は特に,
1日に何度もこの作業を行ないます。
今まで,この作業にどのくらい時間がかかってるか,
あまり意識していませんでしたが,
今回撮影してみると,およそ6分もかかっており,う〜ん。
2液形の塗料は計量・混合・撹拌に手間がかかるだけでなく,
ローラーで塗れば,それが1時間でも使い捨てになりますから
1液形の塗料を使用する場合に比べたらロスが多いです。
なので,私とて,できれば1液形で済ませたいわけですが,
2液形が市場から無くならないところをみても,
2液形の優位性は当分続くと思われます。
この動画は,先にアップされた今井塗装さんの動画を見て,
撮ってみたものです。
見比べると,やり方の違いがあって,面白いです (^^)
ちなみに,「ええっ? 秤,使ってるんですか !?」(゚Д゚;)
と塗料メーカーの方に驚かれたことがあります。
その人,秤を使うペンキ屋は見たことがないんだそうです。
秤を持ってない「1級塗装技能士の店」も知っていますので
そんなもんかもしれませんね。
2009年09月03日
左官工事(花壇の下地補修)
今日も降るんだか降らないんだかはっきりしない天気で,
かなり迷いましたが,休工としました。
久しく工事記録的な投稿をしていなかったので
溜まっている見積書作成に専念する前に更新をば。
(以下,長いです)
現在,神奈川県川崎市宮前区で施工中の,和風のお宅です。
↓
昨年9月,塀と花壇の塗り替えのご依頼をいただきました。
塀は掻き落とし左官仕上げ,
花壇はリシン吹き付け塗装仕上げです。
↓
花壇は,「塗装が劣化してる」というレベルじゃなく,
モルタルがかなりキテます。
↓
ちょっと補修して塗る程度では済まない感じなので
左官補修,できれば,内側に防水処置をした方が良いでしょう
というお話をして,今年7月中旬に左官工事先行で着工。
着工直前に打ち合わせにお伺いすると
内側の土が全撤去されていました。
↓
土の撤去は造園業者に依頼されたものと思っていたら,
なんと,施主さんがご自身で行なわれたそうで,
土嚢袋100枚分(!)だったそうです。
「土」って,引っ越しの時の荷物のように,
移動すると,こんなに?と思うくらい多いんです,不思議と。
この状態は,
↓
ブロック積みの上の,仕上げのモルタルが割れて
浮いているのだろうと思っていました。
が,土が全撤去されて内側を見ると,
(鉄筋を組んで型枠を作ってコンクリートを流し込み,
固まってから型枠を外す→)「鉄筋コンクリート」
であることが判明。
どちらにしてもモルタル層がダメなので撤去。
業界用語で「ハツる」といいます。
↓
鉄筋コンクリートは型枠の固定に鉄のボルトを使用します。
コンクリートが固まってから型枠を外しますが,
ボルトは貫通している状態で本体に残ります。
健全なコンクリートはアルカリ性なので
残っていても中で錆びることはないのですが,
鉄が露出したところはワイヤーブラシでこすって錆止塗料を塗付。
↓
花壇内側の床面はほとんどコンクリートで固めてあり,
ちょっとずつ下に水が浸透していたかもしれませんが
プール状に水が溜まるような作りになっていて,
植栽には良くないそうなので,水抜きのための穴を開けました。
↓
表層のモルタルを剥がしてみると,あちこちにひび割れがありました。
ひび割れはコンクリートを貫通しています。
↓
ひび割れから水が浸透して芯の鉄筋に達すると錆びてしまい,
鉄が錆びると膨張してコンクリートを割る力になるのでマズイです。
それに,仕上げの塗装は内側から水で押されるとものすごく弱く,
簡単に膨れたり剥がれたりしてしまいます。
完工後には,また土を入れることになるので,
水が浸透しないように,ウレタン防水を行ないました。
↓
ウレタン防水は全く水を通さず,乾いても弾力性があります。
↓
上の写真の赤枠のアップです。
補強のためネットを仕込んであります。
↓
ウレタン防水まで完了した状態です。
↓
ウレタン防水の上から
「カチオンフィラー」という密着の良い下地処理材を塗付。
↓
巾木部分にプラスチック定規を取り付けます。
↓
モルタル下塗です。
↓
上面には,木製の定規を仮止めして
モルタルを下塗します。
↓
そのあと,上面にもプラスチック定規を取り付けます。
↓
正面には,割れないようにガラス繊維のメッシュを仕込みます。
↓
これがガーゼ状のガラス繊維です。
↓
メッシュ埋め込みのアップ
↓
モルタル仕上げ塗りです。
↓
巾木部分も仕上げ塗りをして終了。
↓
この状態が
↓
こうなりました。
↓
この状態が
↓
こう。
↓
施工前後だけ見ると,その間の工程,
ハツりとかウレタン防水とかガラスメッシュとか
そういうあれこれは,まったくわかりません。
部外者には,仕上がりから想像が付かないところに
えらい手間がかかっているわけですが,
ただ上っ面に薄くモルタルを塗っただけでも
同じように仕上がるでしょう。
左官工事がヘタクソな場合,
こういう角度から見ると,直線でないのですぐバレます。
↓
申し分ない仕上がりです。
ところがしかし,「笠木」が無いんです orz
左官担当者としては,「復旧」と考えていたので,
笠木を付けなかったわけですけど,
外側の垂直面のみリシンを吹き付け塗装する私としては,
汚れ低減,剥離防止のために笠木が欲しかったのです。
打ち合わせ不足でした m(_ _;)m
すぐに連絡して,笠木を付けてもらうことにしました。
まずは接着増強剤を塗付。
↓
接着剤でプラスチック定規を取り付けます。
↓
モルタル塗り。
↓
笠木完成。
↓
--------------------------------------------------------
以上の左官工事は,分離発注で
「防水職人としての経験もあるタイル屋さん」に
お願いしました。
なんで「左官業者」に依頼しなかったのかというと
(いいかげんな左官屋なら何軒も知ってますが)
“ちゃんとやる”左官業者の知り合いがいないからです。
私が現場に行けなくても安心して任せられる他職種は
遺憾ながら滅多にいませんが,この方は希な例外です。
(今回の写真のほとんどは私でなく,この方が撮影したものです)
このタイル屋さんのHPは無いので,
神奈川,東京で“ちゃんとやる”左官業者
(&タイル業者)をお探しの方,
ご連絡いただければ ご紹介いたします。
かなり迷いましたが,休工としました。
久しく工事記録的な投稿をしていなかったので
溜まっている見積書作成に専念する前に更新をば。
(以下,長いです)
現在,神奈川県川崎市宮前区で施工中の,和風のお宅です。
↓
昨年9月,塀と花壇の塗り替えのご依頼をいただきました。
塀は掻き落とし左官仕上げ,
花壇はリシン吹き付け塗装仕上げです。
↓
花壇は,「塗装が劣化してる」というレベルじゃなく,
モルタルがかなりキテます。
↓
ちょっと補修して塗る程度では済まない感じなので
左官補修,できれば,内側に防水処置をした方が良いでしょう
というお話をして,今年7月中旬に左官工事先行で着工。
着工直前に打ち合わせにお伺いすると
内側の土が全撤去されていました。
↓
土の撤去は造園業者に依頼されたものと思っていたら,
なんと,施主さんがご自身で行なわれたそうで,
土嚢袋100枚分(!)だったそうです。
「土」って,引っ越しの時の荷物のように,
移動すると,こんなに?と思うくらい多いんです,不思議と。
この状態は,
↓
ブロック積みの上の,仕上げのモルタルが割れて
浮いているのだろうと思っていました。
が,土が全撤去されて内側を見ると,
(鉄筋を組んで型枠を作ってコンクリートを流し込み,
固まってから型枠を外す→)「鉄筋コンクリート」
であることが判明。
どちらにしてもモルタル層がダメなので撤去。
業界用語で「ハツる」といいます。
↓
鉄筋コンクリートは型枠の固定に鉄のボルトを使用します。
コンクリートが固まってから型枠を外しますが,
ボルトは貫通している状態で本体に残ります。
健全なコンクリートはアルカリ性なので
残っていても中で錆びることはないのですが,
鉄が露出したところはワイヤーブラシでこすって錆止塗料を塗付。
↓
花壇内側の床面はほとんどコンクリートで固めてあり,
ちょっとずつ下に水が浸透していたかもしれませんが
プール状に水が溜まるような作りになっていて,
植栽には良くないそうなので,水抜きのための穴を開けました。
↓
表層のモルタルを剥がしてみると,あちこちにひび割れがありました。
ひび割れはコンクリートを貫通しています。
↓
ひび割れから水が浸透して芯の鉄筋に達すると錆びてしまい,
鉄が錆びると膨張してコンクリートを割る力になるのでマズイです。
それに,仕上げの塗装は内側から水で押されるとものすごく弱く,
簡単に膨れたり剥がれたりしてしまいます。
完工後には,また土を入れることになるので,
水が浸透しないように,ウレタン防水を行ないました。
↓
ウレタン防水は全く水を通さず,乾いても弾力性があります。
↓
上の写真の赤枠のアップです。
補強のためネットを仕込んであります。
↓
ウレタン防水まで完了した状態です。
↓
ウレタン防水の上から
「カチオンフィラー」という密着の良い下地処理材を塗付。
↓
巾木部分にプラスチック定規を取り付けます。
↓
モルタル下塗です。
↓
上面には,木製の定規を仮止めして
モルタルを下塗します。
↓
そのあと,上面にもプラスチック定規を取り付けます。
↓
正面には,割れないようにガラス繊維のメッシュを仕込みます。
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これがガーゼ状のガラス繊維です。
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メッシュ埋め込みのアップ
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モルタル仕上げ塗りです。
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巾木部分も仕上げ塗りをして終了。
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この状態が
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こうなりました。
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この状態が
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こう。
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施工前後だけ見ると,その間の工程,
ハツりとかウレタン防水とかガラスメッシュとか
そういうあれこれは,まったくわかりません。
部外者には,仕上がりから想像が付かないところに
えらい手間がかかっているわけですが,
ただ上っ面に薄くモルタルを塗っただけでも
同じように仕上がるでしょう。
左官工事がヘタクソな場合,
こういう角度から見ると,直線でないのですぐバレます。
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申し分ない仕上がりです。
ところがしかし,「笠木」が無いんです orz
左官担当者としては,「復旧」と考えていたので,
笠木を付けなかったわけですけど,
外側の垂直面のみリシンを吹き付け塗装する私としては,
汚れ低減,剥離防止のために笠木が欲しかったのです。
打ち合わせ不足でした m(_ _;)m
すぐに連絡して,笠木を付けてもらうことにしました。
まずは接着増強剤を塗付。
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接着剤でプラスチック定規を取り付けます。
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モルタル塗り。
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笠木完成。
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以上の左官工事は,分離発注で
「防水職人としての経験もあるタイル屋さん」に
お願いしました。
なんで「左官業者」に依頼しなかったのかというと
(いいかげんな左官屋なら何軒も知ってますが)
“ちゃんとやる”左官業者の知り合いがいないからです。
私が現場に行けなくても安心して任せられる他職種は
遺憾ながら滅多にいませんが,この方は希な例外です。
(今回の写真のほとんどは私でなく,この方が撮影したものです)
このタイル屋さんのHPは無いので,
神奈川,東京で“ちゃんとやる”左官業者
(&タイル業者)をお探しの方,
ご連絡いただければ ご紹介いたします。