塗装工事のビデオ

2020年09月26日

鉄階段の塗装の厚さ

お久しぶりです。
重い見積書が一つ出来たので,ようやく一区切りとして更新いたします。

本日は,半年ほど前に「YouTube」で公開した動画に関するお話です。

件の動画の現場はビルの非常階段で,
施主様のご指定により「カーボマスチック」という
アメリカ発祥の錆止塗料を使用しており,
上塗塗料も同じ会社「ジャパンカーボライン社」の製品です。

カーボマスチック

高性能であることは確かなのですが,高価で,たいへんクセが強く,
それゆえ工事価格が跳ね上がってしまうため,なかなか採用できません。

カーボマスチックで鉄階段を塗ることは今後もうないだろうと思うと,
今回,どうしても「膜厚計」が欲しくなり,真剣に購入を検討しました。

「膜厚計」とは,「鉄の上の塗装の厚さを測る」ための機器です。
塗装用品商社 大塚刷毛製造(株) のフェア「マルテー祭」や
塗料販売店の展示会のブースで販売されている膜厚計は
安くても5万円以上するので,
これまでに欲しいと思ったことは何度かありましたが
自分が塗った塗装の厚みがどのくらいなのか,
単純に興味本位で測ってみたかっただけであって,
膜厚を測定する検査が入る公共工事をしているわけではなく
「業務上必要」ということではないため,購入には至りませんでした。

今回調べてみると,amazon だと1万円を切るようなものがあります。
しかし,レビューを見ると,取扱説明書が中国語だったりするらしいし,
どうも不自然なレビューがあったりして,いまいち信用できません。

検討の結果,私が購入したのは
「(株)カスタム」の「TG-01U」です。



CUSTOM TG-01U 膜厚計 ←こちらは楽天リンクです

この膜厚計は,日本の会社から販売されていて,
日本語の取扱説明書が付いている膜厚計の中では たぶん最安です。
すぐに壊れるというレビューも見ましたが,
1年は保証付きなのでまあいいか,と決定。

この膜厚計は「複数の計測値の平均を表示する機能」も備えていますが,
YouTube映えの問題もありますから,計測している場面を動画で撮影し
計測値をエクセルに打ち込んで編集してYouTubeに上げました。

で,どのくらいの厚みを付けられたのか,ご覧ください。
 ↓


今後,この鉄骨階段の「ケレン」に関しての記事を投稿する予定です。


※「カーボマスチック」および鉄の塗装については
 下記の過去記事をご参照ください。


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2018年11月06日

鉄階段の錆止塗装

施主様よりご了承をいただきましたので,
現在施工中のお宅で撮影した最新の動画を
「限定公開」から「公開」に切り替えました。

「鉄階段の錆止塗装」というタイトルからして,
ただ単に鉄階段に錆止塗料を塗ってる場面だけの
よくあるタレ流し動画を想像されるかもしれませんが,
そんな単純なものではないので,約11分,ぜひ ご観賞ください。



---------------------------------------------------

昨年,独立して間もない若い同業者からアンケートをもらって,
成り行きで 少々電話で話しました。

彼はリフォーム会社の下請で住宅塗替えの仕事をしているのですが
あれこれの話の中で最も私が驚いたのは,
そのリフォーム会社では基本的には「ハケ塗りは禁止」されている,
という話でした。

「ハケ塗りだと仕上がりが悪い」というのがその理由らしく,
確かに,経験が浅い職人が安いハケで がちゃがちゃ塗るよりは
ローラーでコロコロしたほうがマシに見えるかもしれません。

私的には,刷毛で塗れるものなら極力ハケ塗りしたいと思うので,
鉄階段,フェンス,格子などの鉄部,
トタン屋根,霧除け(庇),カラーベスト屋根の棟包みなどのトタン,
その他,破風板,シャッターボックス,雨樋,幕板,等々,
ハケで塗れる限り ほとんどの場合はハケ塗りします。

もちろん,それらはローラーで塗ることもできますし,
ローラーで塗ったほうが難易度が低く,作業も早く終わることは
知っています。

なのに私がローラーではなく,
わざわざ敢えてハケ塗りする理由は何かというと
【ハケ塗りのほうがキレイに仕上がる】と思うから,
それに,【ハケ塗りのほうが厚く塗れる】からです。

【キレイ】に関しては,好みもあり,見る人にもよるでしょうし,
そういうことには関心が無い・気にしない・気付かない人からしたら
まったくどうでもいいことで,依頼者のキャラクターによっては
ハケ塗りは職人の自己満足の押し付けになる可能性はあります。

しかし,【厚く塗れる】に関しては,
動画での実測の通りで,ローラーよりもハケが有利です。
(ある程度の技能がある職人が塗るなら,という条件付きです)

ローラーは回転させながら塗料を押し付けていくので
塗料が多すぎると滑ってしまいますから,
ハケ塗りに比べて,たっぷり乗せて厚膜に塗るというような
塗り方には向いていないです。

しかし,ハケ塗りの場合は,
対象物が垂直で,塗った塗料が流れてしまう限界を超えない限り
たっぷり乗せて厚く塗る,ことが可能です。

また,ローラー塗りだと表面がゆず肌状の凹凸になり,
どうしても凹部が薄くなりますから,
「最も薄いところ」がハケ塗りよりも薄くなりやすいです。

錆びている鉄の塗装の場合,塗装の厚さは
鉄と外界とを遮断する能力に大きく影響しますから,
膜厚が重視される橋梁の塗装をしている知人から聞いた話では,
現場によってはローラー塗りは禁止されていることがあるそうです。

いろいろ考えると,ローラーとハケ,どちらが良いか,
ケースバイケースで,答えが違いますね。

 膜厚重視で予算も確保でき技量的にもクリア可能ならハケ

 ハケ塗り仕上げのほうが良いと思えて技量的にクリア可能ならハケ
 
 スピード重視,早く終わらせてコストを落としたいならローラー

 職人とは言えないような経験が浅い作業員しかいないならローラー

みたいな選択になるかと。

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なお,この動画の最初のバージョンでは
「前置き」がありませんでした。
それをカミさんに見せると,

見分けがつかなくて材料も少なく済んで早く終わるなら
ローラー塗り一択でしょ。
何でハケ塗りする必要があるの?

と言われてしまいました。

こいつイタペンみたいなこと言うなあ (笑) と思いましたが
なるほど素人さんはそう見るのか,と思い知ったので
いつかネタにするつもりで密かにとっておいたブツを
「前置き」としてぶちかましてみた次第でございます。


※註「イタペン」は「イタイ ペンキ屋」の略です。

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2017年08月22日

内吊りの軒樋(雨樋)の外し方と工具

新たに動画を公開しました。(「限定公開」を解除)
約1年前の撮影時に公開する予定だったのですが,
諸事情重なりまして遅れてしまいました。

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はじめに一般の方向けの前置きをいたします。

屋根の先端部分の板のことを「破風板」(はふいた)とよび,
雨樋が付いている水平なほうの板は「鼻隠板」(はなかくしいた)
といいます。
  ↓
破風板

鼻隠板

20年くらい前までは この部分に木材が使用されていましたが,
それ以降はサイディングボードのようなセメント系(窯業系)の
既製品が使われるのが一般的になっています。

塗り替え工事で高圧洗浄のときには軒樋があるので,
軒樋の裏側の部分は十分な洗浄が出来ませんし,
構造的に外壁同様の高圧を掛けるのも憚られます。

よって,真面目な塗装業者の場合は,
十分な洗浄が出来ない分,鼻隠板を研磨パッドでこするなど
鼻隠板を塗装する前に「ケレン」を行います。
(※「ケレン」=「clean」が転訛した塗装用語)

そして,必要があれば板の継ぎ目の補修を行ってから
下塗りを行い,それから上塗りを2回,合計3回塗装します。
 
軒樋が付いていると,その陰になる部分の鼻隠板を塗るときには
大き目のハケが使えませんから,ほんとうに隅々まで3回塗るなら
軒樋と鼻隠板の隙間に細い刷毛を入れてチマチマ塗る,
  ↓
鼻隠板の塗装1

鼻隠板の塗装2

鼻隠板の塗装3

さらには軒樋の上から唐草との間に細い刷毛を入れてチマチマ塗る,
ということを3回繰り返します。
  ↓
鼻隠板の塗装4

と,そんなチマチマしたことを3回も繰り返すくらいなら
軒樋が無い状態で作業したほうが断然作業がやりやすいです。
  ↓
20170813z

なので,当店では塗り替え工事の際に
軒樋を取り外すことがちょいちょいあります。
  ↓
軒樋を取り外した状態

ケレンせず,継ぎ目の補修もせず,
ただテキト〜〜に1回か2回塗るだけで済ませる場合は,
軒樋を取り外す必要はまったくありません。

が,(くどいようですが)ケレンして継目の補修をして
本当に隅々までしっかり3回塗りたい場合は
軒樋脱着の手間を掛けたとしても,
トータルで作業時間が短縮できると思います。

と,ここまでで「前置き1」が終わり。

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で,次,「前置き2」です。

軒樋が鼻隠板に対してどのように取り付けられているかというと,
昔は「外吊り」が一般的でした。
(軒樋の外側に金具が露出しているのが「外吊り」です)
  ↓
外吊りの軒樋(角樋)

外吊りの軒樋(丸樋)

「外吊り」の場合は,軒樋を取り外すのは比較的簡単です。
軒樋を受ける金具の先端が軒樋の内側に折り曲げてあるだけなので
その「爪」を引き起こせばOKです。
(※もっと古いものだと銅線で結わいてあるパターンもあります)
  ↓
外吊りの金具

しかし,15年くらい前?から一般的になってきている
「内吊り」の軒樋はそんなに簡単には外れません。
(外側に金具が露出していないのが「内吊り」です)
  ↓
内吊りの軒樋(角樋)

雨樋を取り付ける専門業者「建築板金」の職人でも,
「あれは外せない」と言い切る職人が居るくらいです。

と,たいへん長くなりましたが,ようやく前置きが終わりました〜。

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内吊りの軒樋を特殊な工具「軒樋アンロッカー」を使って
簡単に取り外している様子を撮ったのがこの動画です。
  ↓


「軒樋アンロッカー」はまだ発売されていない試作品です。
オリジナルは市販のヘラを改造して私が自作したもので
それを工具メーカー「土牛産業」様に送って作ってもらいました。
 
これが新発売されてもバカ売れするとは思えませんが,
私と同じように軒樋を外したいと思っている塗装職人が
日本に100人くらい?は居るんじゃないかと思いますし,
現場で板金職人に試用してもらったところなかなか好評だったので
塗装職人よりも板金職人に売れるような気もします。

※「エスロンRV-105」など,これを使用しても外せない
 非常に厄介なタイプの軒樋もあります。

「軒樋アンロッカー」発売されたら買いますか?
というアンケートを設置しましたので,ぜひ,一票入れてください。
アンケート結果によっては?発売されることになるかもしれません。



※スマホの方は下記からどうぞ

 ◆投票する

 ◆投票せず結果を見る


---------------------------------------------------

なお,一般の方のために追記しておくと,
軒樋を取り外すために切断する場合には,
その軒樋が絶版製品でないか事前に確認する必要があります。

現行製品ならこのような繋ぎの部材が入手可能で,
切っても再接続できます。
  ↓
1502

1515

切断するときにはこのノコギリが使いやすいです。
「Z パイプソー先細 08043」
やってみるとわかりますが,先端が細いのがミソ。
  ↓
雨樋切断のノコギリ「パイプソー先細」

軒樋切断




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このあと,(途中で他の話題に飛ぶかもしれませんが)
「広小舞部分の処置と鼻隠板ケレン」
「鼻隠板 継目掘り込み」
「鼻隠板 継目シーリング」
と,すべて動画有りの「鼻隠板シリーズ」が続く予定です。

 


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2017年07月08日

調色の結果

5月にいただいたアンケート(兼 見積ご依頼)にて

 > 忙しいからなのか、更新があまりされていない。
 > 今も営業しているのか心配になる。

というご意見をいただきました。

はい,それは重々,重々承知しているのですが,
あまりにも見積書作成が遅れているので
HPやブログの更新に時間が割り当てられないのですよ。

で,ネタはものすごくいっぱいあるんですが,
書くのに時間がかかるネタは後回しにして,
とりあえず,軽いネタで,半年ぶりに更新することにしました。

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先日,といっても,もう1ヶ月くらい前,
東京タワーのほうにあるビルのオーナーさんから
工事依頼のお電話をいただきまして
内装の塗り替え工事を施工させていただきました。

下請工事ではない工事の「内装」というのはものすごく珍しく,
1999年に当店HP開設以来,HPからのご依頼により
内装工事を行ったのは,今回が実に2回目です。
 
工事内容は鉄扉1枚とエレベーターホールの壁面の塗装です。

鉄扉の塗り替えといっても,
「今の塗装を全部剥がしてから塗ってもらいたい」
という非常にピンポイントなご依頼でした。
  ↓
鉄扉 2種ケレン

で,そのついでに階段手すりのキズや剥がれの補修塗り
「タッチアップ」も頼まれ,
それをネタに作ったのがこの動画「調色の結果」です。
  ↓


って,今回はそれだけです。m(_ _)m

そんだけかよっ,と物足りない方は,
過去記事「調色」も ご覧ください。

 


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2017年01月15日

サイディングのクリア塗装(クリヤー塗装)


2016年のうちに投稿しておきたかった記事が2つあったのですが,
見積書作成その他で年が明けてしまいました〜。
2017年もよろしくです。
 
2017元旦未明の神社

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さて,今回はその予定記事2つをあえて飛び越して
「サイディングのクリア塗装」について書きます。
(明後日くらいに発送する見積書のお宅がクリア塗装希望者なんです,実は)

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このような ごく普通の窯業系サイディング
  ↓
普通のサイディング

は,下塗+上塗2回の3回塗りでOKなわけですが,
タイル風
  ↓
タイル調サイディング

石積み風
  ↓
石積み風サイディング

のような場合,普通に1色で塗り潰してしまうと
凹凸は残るにしても,見栄えがかなり変わってしまいます。
 
タイル調なら多少手を掛けると2色塗りが出来ますが,
石積み風で色彩が複雑だったりすると,それも出来ず,
現場でやるとしたら 

 「水性ゾラコートEX」関西ペイント

 「ラテラトーン」水谷ペイント

 「WBアートSi」スズカファイン

みたいな,やや手の込んだ「多彩模様」の塗料を使う方法を除くと
塗り潰しに次いで一般化しているのが「クリア塗装」でしょう。

当店でも過去2棟だけですが,
サイディングのクリア塗装を施工させていただきました。

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「クリア塗装」イコール「透明の塗装」なので
下地に著しい色褪せや色落ち,こびりついた汚れ,あるいは
ヒビや傷などがあると,それがそのまま出てしまいます。
よって,一般的に,クリア塗装は築10年くらいまで
と言われています。

当店での1棟目の石積み風のお宅は施工当時築10年だったので
特に問題はなかったのですが,
築年数がそれ以上になってくると,
もうクリア塗装するには遅い,
という状態になっている場合があります。

では,具体的に,
「このサイディングにクリア塗装ができるか」どう判断するか?

各社のサイディング用クリアのカタログを見ると
メーカーの個性が出ていて面白いです。

「ピュアライドUVプロテクトクリヤー」日本ペイント
 →「試験施工をおこなって付着性を確認してください。」
ん〜,確かに試験施工すれば一番間違いないんでしょうが,
見積もり段階では出来ないですし,着工が決まってても
塗付と乾燥後の確認とで2回現場に行かなきゃならないわけで
まあ,普通はやらないでしょうね。

「クリーンSDトップ」エスケー化研
 →「カッターで切り込みを入れ」「テーピング試験」
見積もり段階でカッターで切るのは無理。

「パワーアシストクリヤー」水谷ペイント
 →(判断方法の記載なし,ある意味硬派?)

「SBライズコートシステム」大日本塗料
 →「チョーキングレベル診断」
「JIS K 5600-8-6」という規格での診断方法の記載があります。
しかし,肝心の「数値化した白亜化評価等級1〜5の標準画像」が
掲載されていないので,片手落ち感が否めません。
やり方を書くならレイアウト変更して画像載せてほしかったです。

「ダイヤSPR工法」ダイフレックス
 →「施工前外壁調査方法」
JIS規格の「白亜化の等級1〜5の標準画像」を診断基準にせよ,
と書かれているのは上記メーカーと同じなのですが,
こちらのメーカーでは「標準画像」が大きめに掲載されていて,
とても親切です。
  ↓
白亜化評価等級1〜5の標準画像


ということで,この判定方法を知ってからは
クリア塗装の可能性があるお宅の見積には
「セロテープ」と「黒い下敷き」を持っていきます。
  ↓
黒い下敷きとセロテープ


外壁にセロテープを貼ってよくこすって密着させてから剥がして,
黒い下敷きに貼ったときにコレだとクリア塗装は不適です。
(この家は築12年でした)
  ↓
白亜化評価結果:クリア塗装は不適

サイディング表面が傷みすぎていなければ,
こんなに ↑ セロテープに塗装が付着してくることは無いので,
「クリア塗装しても大丈夫ですよ」という判断になるわけです。

(但し,表面に微細な凹凸があるタイプだとセロテープが付かないため
このテストが適用できない場合もあります。)

---------------------------------------------------

当店でクリア塗装を施工させていただいた2棟目のお宅では
最も日当たりが良い南面でこのテストを行いました。
(着工後に撮影した動画です)
  ↓

 
築15年だったのでダメだろうと思っていたのですが,
OKという結果なので,クリア塗装を行うことになりました。

ところが,シーリングを終えてから高圧洗浄すると
あちこちでサイディング表面がプチプチとはじけ飛ぶほか,
北面でかなり削れてしまう結果となりました。
(通気層が無い「直貼り」ではありません)
(出隅部材の角から吸水してふやけていたようです)

洗浄後の様子を写した動画です。
  ↓


この段階で2色塗りに変更することも考えたのですが,
「現状の外壁の色・柄を維持したい」という施主様の
たいへん強いご希望がありまして,クリア塗装を強行しました。
(派手に欠損したところは主に目立たない真裏の方だったので)

欠損の具体的な補修方法は,以下の通りです。

素地が露出したところに浸透させるタイプの下塗塗料を塗付。
  ↓
サイディング素地露出部分下塗後

下塗が乾いてから外部使用可能なパテで成形。
  ↓
サイディング欠損部耐水パテ処理後

その後に,白い下塗塗料を塗付。
  ↓
サイディングパテ処理部分下塗

上塗1回目を塗付。
  ↓
サイディング補修塗り上塗1回目

既存に極力近い色を作成。
  ↓
サイディング補修塗りのための塗料(自作)

で,2色で補修塗り。
  ↓
サイディング補修塗り終了

このあとに,3分艶(30%の艶)クリアを2回塗って
仕上がりの動画がこれです
  ↓


※上記の方法で補修したのは,「欠損が目立つ部分」のみです。
米粒程度以下の細かい欠けはたぶん何百ヶ所もあって
すべてを補修するのは現実的ではないですから。

なお,この ↑ サイディングは,よく見ると2色ではなく
細かい黒い粒々模様があることがお判りいただけると思います。
粒々の大きさは尖った鉛筆で突いたくらいなので,
辛うじて目立たない補修塗りができました。

しかしながら,粒々模様がもっと大きい場合
  ↓
補修塗り困難なサイディング

あるいは,2色でなく3色以上使ってぼかしてあるような場合
  ↓
補修塗り困難なサイディング

だと,洗浄の結果,あちこちに大き目の欠損が生じたとしたら,
クリア塗装前の補修塗り・再現を行うのは
(不可能ではないにしても「絵を描く」のに近い手間がかかるので
実際のところ)ほぼ無理です。

---------------------------------------------------

私感では,サイディングは一般的に考えられているよりも,
はるかに脆くて弱い素材です。
屋根と外壁の洗浄だけで丸一日かける十分な高圧洗浄を行うと,
築10年程度でも少しは表面がはじけ飛びます。

参考として,築12年目のサイディングの高圧洗浄の様子です。
  ↓


ものによって多少傷み方の度合いに違いはありますが,
サイディングというものは こういう物なので仕方がありません。
 
その塗り替えに対して,(例外はありますが)
「クリア塗装」=「下塗りをしない」ということですから,
個人的には,職人的な感覚として,
なるべくならサイディングのクリア塗装はやらないほうがよい,
と思っています。
(どうしてもやれと言われれば仕事ですからやりますが)


で,なるべく厚く塗るように心して2回クリア塗装した仕上がりの写真です。
サイディングに打たれた釘の頭の横に1円玉を貼り付けて
アップで撮りました。
  ↓
サイディングクリア塗装仕上げ アップ

そして,(別のお宅で)同じような状態のところを
(下塗2回+上塗2回+凸部1回)合計5回塗って
2色塗り仕上を行ったアップの写真がこれです。↓
  ↓
サイディング2色塗り仕上げアップ


こうしてクリアとエナメルをアップで見比べると,
クリアで大丈夫なのか?と不安な感じがします。
また,補修塗りしたところが後から目立ってきたりしないかも気になります。
なので,やはり今後3年ごとくらいに見に行くことにします。

サイディングのクリア塗装は,まだ一般的になってから
10年経っていません,私の記憶が正しければ。

「2回塗るだけでOK,簡単で安上がり」
と単純に考えている業者もいるようですが,
次の塗り替えのときにどうなっているのか,
(実際に10数年経ってどうなるか)まだ誰も知らないので,
なるべくやりたくない,のはそういう意味合いもあります。

逆に,とにかく安く済ませる方法としてクリア塗装を選択するなら,
弱っているところでもはじけ飛ばないように,
かなり手加減して洗浄を済ませるしかないでしょうね。
そんな洗浄で大丈夫なのか?などとは考えないことにして。

---------------------------------------------------
 
またしても書き出したら長くなってしまいましたが,
ついでに,サイディングのクリヤー仕上げの場合の
シーリング(コーキング)について書いておきます。

塗料メーカーのカタログに従うなら,
シーリング打ち替えはクリア塗装の後に行います。
(これを「後打ち」といいます)

シーリングが充填してある継ぎ目の部分は,
動きが生じても割れて隙間ができないように
動きに追従する柔らかいシーリングを打設してあるわけですから,
その柔らかいシーリングの上に塗装した場合,
シーリングより硬くて薄い塗膜が割れてしまうとしても
それは仕方がないことであり,むしろ当たり前の結果なのですが,
ある種の施主さんと業者の場合,それが「クレーム」になるので
メーカーとしてはクリア塗装に限らずエナメル塗装(塗り潰し)でも
先にシーリングを済ませてから塗装を行う「先打ち」でなく
塗装後にシーリングを行う「後打ち」を推奨しています。
(そのココロは「シーリングの上に塗装すると割れたとかべたつくとか
ウチに文句が来てメンドイから,おまいら塗るなよ」ってことです)

で,シーリングの上にクリアを塗った場合にどうなるかというと,
塗膜が割れると白く濁って目立つ(?)らしいです。
(らしい,というのは,まだそういう状態を見たことがないので)
 
しかし,シーリングの上の塗膜が割れて,
そのひびが多少目立つとしても,シーリングのもちは

 上から塗装されたシーリング > 無塗装のシーリング

であることは絶対的に間違いないので,
私はクリア塗装でも「先打ち」したほうがいいだろうと思います。
(自分の家ならそうします,エナメル仕上げだって割れるわけだし)

---------------------------------------------------

ちなみに,もし,「後打ち」するとしたら,
塗装前の高圧洗浄をシーリング打ち替えの前にやることになります。

ところが,見積に呼ばれた時点ですでに
シーリングがあちこち断裂しているのが普通ですよね?

ということは,シーリングが断裂した状態
(=高圧洗浄したらサイディングの内側に水が入る状態)
のまま高圧洗浄するわけにいかないので
シーリング打ち替えの前に断裂を「仮埋め」しておく必要があります。
 
わかりにくいので,まとめると,下記のようになります。

◆先打ちの場合
シーリング打ち替え→高圧洗浄→塗装

 ○ シーリングの寿命が(塗装しない場合よりも)延びる
 × シーリングの上の塗膜が割れることが多い

◆後打ちの場合
シーリング断裂部分仮埋め→高圧洗浄→塗装→シーリング打ち替え

 ○ シーリングは塗装しないので「シーリングの上の塗膜が割れる」
   ということが起きない
 × 断裂がある場合には仮埋めが必要で先打ちよりも手間がかかる
 × 完成した塗膜にカッターの刃を入れることになり
   仕上がりへの影響に注意・配慮が必要。

以上「先打ち」「後打ち」の他に,
その中間とでもいうようなやり方をする業者もいるようです。
どんな方法かというと,「先打ち」して,
そのシーリングの上にマスキングしておいて塗装するらしいです。
う〜ん,そんなにうまくいくかなぁ?と思いますが,
ちょっとくらいシーリングの方に クリア塗装がはみだしても良し
とするなら,「後打ち」よりはマシなやり方かもしれません。

なお,常識的な判断ができる業者であれば,
シーリングの断裂がある状態のままで高圧洗浄を行うことは無いですが
午前中に高圧洗浄を終えて午後からシーリングの打ち替えを始めた業者を
実際に見たことがあるので,注意しましょう。(見積時に必ず確認)

---------------------------------------------------

最後に,クリア塗装の仕上がりですが,
色が変わらないので,どちらが施工前でどちらが施工後か
引きの写真ではまったく見分けがつきません。
テカテカの艶有りじゃなく,三分艶=30%の艶なので特に。
(マウスポインタを乗せると写真が変わります)
  ↓

サイディング外壁クリア塗装施工前後

「現状の外壁の色・柄を維持したい」というご要望には
まさにぴったり適合した仕上がりなのですが,
塗る側の私的には,なんというかこう,達成感が薄いので,
色が変わったほうがいいなあ,と思うのであります。


で,下記は,クリア塗装じゃなく,
塗り潰しからの2色塗り(3色塗り)でこんなふうにできるんですけど,
という見本です。
  ↓





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