雑記

2017年09月12日

阿部塗装店(宮城県)

宮城県石巻市の阿部塗装店さんを,
当店HPよりリンクさせていただきましたので
以下,これまでの当店との関わりなど,記しておきます。

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長年塗装屋をやっていると,
多かれ少なかれ誰でも横のつながりができます。
同業者の会,塗料メーカーや塗料販売店の講習会,等々,
切っ掛けはいろいろでしょう。

私の場合はネットからのつながりが多く,
当店HPを見たという見ず知らずの同業者から
メールをもらって知り合うというケースが結構ありました。

私とは全く異なるタイプと付き合いが長く続いている例もありますが
やはり親しくなるのは「類は友を呼ぶ」的なパターンですね。

そのうちの一人が阿部塗装店の阿部さんです。

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阿部さんと知り合ったそもそもの始まりは,
阿部さんが当店HPを発見して,
アンケートを送信されたのがきっかけでした。

その13年前の送信内容は当店HP上で公開しています。

 曽根塗装店HP
 >塗料の黙示録
  >第2章:水性シリコン樹脂塗料
   >【9】同業者(塗装業)の方からの御意見

このページ ↑ の「○○さん」が実は阿部さんなのであります。
 
 リンク先まで行かない人のために ここに要点を書いておくと
 私が水性シリコン塗料の比較試験をやってみた結果,
 かなり汚れにくい塗料が見つかりました。
 しかし,それがどこのメーカーのものかはここには書きません,
 という連載ページを作ったところ,
 宮城県の(当時→)20代の同業者からアンケートが着信。
 それはどこのメーカーの塗料なのか?
 質問のような感想のような送信内容に対して私は
 自分でやってみましょう,やってみればわかります,と返信,
 はい,やってみます,というメールが来たものの,
 結局その後1年8ヶ月音信がありません,という話です。

このやり取りは約13年前の2004年12月で,
このやり取りを掲載したページの公開は2006年9月。
音信が途絶えたままもう阿部さんと連絡をとることは無いだろう
と私は思っていました。

ところが,翌年2007年1月に,
自分のメールが当店HPに載っているのを発見した阿部さんから
再度メールをいただいて ついに阿部塗装店の実験開始に至ります。

そして,阿部さんのアンケート送信から13年が経過,
たぶん塗装屋の中で,いま最も実験してる人が阿部さんです。

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阿部さんはこれまでに3回,
宮城県から神奈川県の当店に遊びに来ています。
「遊び」に来ている
とは言っても横浜の観光案内とかは一切無しで
来たときはひたすら塗装関連の話をしてます。
(普通の人はヒキますが)

その阿部さんと私が普段どんなやり取りをしているのか,
ねちねちした長い話が好きな曽根塗装店ファン(?)のために,
2年前 私が阿部さんに送ったメールを以下にご紹介いたします。
(一部伏字に変えたりしているほか,※部分は付記です)

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送信日時:2015/09/27 1:07 (※昼過ぎでなく夜です)
件名:光触媒塗料

(※光が当たることによって酸化作用を生じさせる物質
「酸化チタン」を対象物にコーティングすることによって
有機系の汚染物質を分解したり抗菌作用を得ることができる
と同時に,非常に水に馴染みやすい性質を発揮するために
油性の汚れが付着しにくくなる,といわれています。
この技術を塗料に応用したのが「光触媒塗料」であり,
最大手メーカーのブランド名が「ハイドロテクト」です。)


ハイドロテクトが注目を浴び始めたころ,
あれこれと入ってくる情報を自分なりに考えた結果
これはダメなんじゃないか?という結論になりました。

一番引っかかったのは「有機物を分解する」という点で
石やガラスなど無機質のものにコーティングするなら
問題ないとしても
塗り替えの場合は旧塗膜の上への塗り重ねになり
旧塗膜は有機物なわけだから,
光触媒の効果で本当に有機物を分解するなら
旧塗膜も例外ではなく分解するはずで,
だったら,光触媒効果が有効なら有効なほど
層間剥離する可能性が高いだろうと思ったのでした。

しかし,ハイドロテクトがある程度知れ渡ってくると,
見積もりに行った先で「光触媒はどうなんですか?」と
質問されることが増えてきました。

そこで,登録施工店になってみることにしました。
取引先塗料店を通じて打診した結果,
ビデオが再生できるテレビを用意してくれれば
当店へ出張講習しに来てもらえるというので
お願いしました。

無料の講習はたしか1時間半くらいで,
実技講習は初めての物件が出たらその時に現場に伺います,
というスタイルでした。

(※ハイドロテクトは講習を受け登録された業者のみが購入
できる塗料でした。こういう場合,受講と登録に数万円から
数十万円の費用を要する場合もありますが,ハイドロテクトは
無料でした。当店事務所にて講習をしていただいたのは
調べてみたら2005年2月で,このメールの10年前です。)

講習の目玉は「実験キット」による “衝撃的な” 実演です。
ハイドロテクトと某社水性塗料,2枚の細長い塗り板に
エンジンオイルと墨汁を混ぜたとかいう「汚れ」を付けて
透明のアクリル板でできた小さな水槽に浸す。
某社水性塗料のほうは汚れが付着したままなのに対して
ハイドロテクトは水に漬けたとたんに,
ぺらっと汚れが剥がれるのです。

検索したらその実演の動画を見つけました↓
https://youtu.be/_hdQ0lyMTgo

(※この実験キットは販促ツールとして販売されていました)


へ〜っ,スゴイですね,じゃあ,これもやってみてください
と,知人から曝露試験用にもらったハイドロテクトで
私が作った塗り板で同じ実験をやってもらいました。

すると,,,水に漬けても汚れが剥がれません (爆)

ネタバラシして,「なぜですか?」と講師の人に訊ねると,
実演用の塗り板には紫外線のランプを当ててあって,
「完成した」塗膜なのだそうです。

ハイドロテクトは塗料として塗れるようにするために
界面活性剤とか増粘剤とかの添加物を加えてあって,
ある程度紫外線があたって有機物の添加物が分解されつくして
はじめて,無機質塗膜として完成し親水性を発揮する
とのこと。
私の作った塗り板は日が当たるとは言っても室内にあったので
「完成塗膜とは言えない」という説明でした。

もう,この時点で,???と思ったのですが,念のため,
塗り替えで使ったら下地の有機塗膜を分解しないのか,
質問してみました。

(※「下地の有機塗膜」というのは既存の塗膜だけではなく,
ハイドロテクトを施工する際に塗付する下塗塗料も含みます。
おそらくOEMで一般的な下塗塗料が設定されていました。)

回答は,
規定の塗付量で上塗を行った場合
40ミクロン(だったかな?)の膜厚が付き,
紫外線は下地まで到達しないので問題無い
というものでした。

サゲツの内容器に厚めに2回塗っても,
太陽にかざすと光が透けますよね?
だからそんなわけないのでは?,と言いたかったのですが
もう何言っても無駄かも,と思って言いませんでした


(※「サゲツ」とは塗料を塗るときの入れ物のことです。
このくだりは一般の方には説明しにくいので,簡単に言うと,
上塗を規定量きっちり塗ったとしても,まだ多少は太陽の光を
透過してしまうだろうということで,塗装職人なら経験的な
感覚として同意すると思います。
お時間のある方は,このページを参照してください。)

ちなみに,講師の人はTOTO出身ではなくオキツモ出身だそうで,
一般塗料の中で最も汚れないのは○○○社
逆に最も汚れるのは×××社だということを知ってました。

(※これは私と阿部さんの実験結果から共通の認識です)
(※オキツモは耐熱塗料の専門メーカーで,
初期名称「ジャパンハイドロテクトコーティングス」は
TOTOとオキツモの合弁会社として2000年に設立されました)

「曽根塗装店式パイプ雨筋試験法」による
当方の曝露試験はもう絶版になった「ECO700」で行い
滴の落ちる一番下が他の塗料は黒い丸になるのに,
ハイドロテクトだけは白い丸になるという点で
明らかに異質なのだろうということはわかりましたが,
雨筋汚れという点では阿部さんの実験結果と同じようなものでした。
特に低汚染性という感じは無く,
×××社よりはマシだとしても,○○○社よりも汚れる,と


(※パイプに塗付して屋外に曝露することにより
塗料の耐汚染性能をテストする方法は14年位前に
私が考案したものです。
詳しくはこのページを参照してください。)

その後,見積依頼者から話が出ても
実際効能があるかどうかは疑わしいのですが,という話をして
結局,今日に至るまで,曽根塗装店では1度も使ってません。

ただ,1回だけ,応援の1職人として
他店の現場で塗ったことがあります。
リフォーム屋の下請けの塗装店のさらに下請けで,
高圧洗浄の翌日に外壁の下塗が終わっているような調子でしたが,
「光が洗う家」という「のぼり」が何本も立てられており,
人の良さそうな老夫婦は,
「腕の良い職人さんに最高の塗料を塗ってもらっている」
と信じ切っていました。
私はそこで親方の指示の通りに,
ECO700を希釈率上限5%のところ10%希釈で
バンバン塗りました,バンバン (- -;)


(※この当時一般的なシリコン樹脂塗料の流通価格が1缶で
1.2〜3万円位だったのに対して,ECO700は8万円ほどで,
大半のフッ素樹脂塗料よりも高額でした。)

その経験からして,ハイドロテクトのような塗料は
まるでAMW▲Yのような▲▲▲▲▲同様,
イケイケの業者しか手を出さない「商材」なので
その塗料の本当の品質・性能を云々する以前に
適切な施工が行われることは極めて少なく,
結局,「時代の徒花」として散ってゆくのではないか,
と思いました。

実際の後日談としては,
激しくチョーキングするとかクラックが入るというのは
以前にも聞いたことがあります。

今回,「ECO-HG」が販売停止というのも,
「ECO700」が無くなってしまったのと同様に,
まだ技術的に完成の域に達していないのではないかと
思われます。

あと10年くらいで無くなる塗装店店主の自分としては
阿部さんはまだ25年くらいあるし,
3代目が引き継ぐかもしれないので,
曽根塗装店の遺志を継いで(?)
各種実験を積み重ねていってほしいと思います。

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とまあ,真面目な阿部さんとは
下地処理,塗料の品質,施工方法,道具の良し悪しなど
塗装関係のいろいろなことについて,
ちょいちょいこんな調子のやり取りをしてます。
電話のことも多いですが。

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ちなみに,同業者の方はすでにご存知かもしれませんが
光触媒塗料最大手のTOTOは,
本年6月に塗料部門「ハイドロテクトコート」を閉鎖しました。

耐久年数15〜20年,汚れを分解,空気を浄化,夢の塗料

と大いに喧伝されていたのですが,事業化から17年,
現場塗装の塗料として実用化することが難しすぎたのか,
あるいは不可能として断念されたのか,詳しくは存じませんが,
たいへん残念な結末と言わざるを得ません。

私はこの仕事を約30年続けてきて,元請100%になってからは
自分で塗った現場のほとんどを追跡調査していますが,
結局のところ,ある塗料の良し悪しは
実際に10年とか15年経たないとわからない
というのが事実であり本音です。

耐久年数とか効能について,
「大本営発表」の盲信・受け売りばかりしていると,
いずれそのうち,
塗料のカタログはあくまでも「宣材」でしかない
ということを思い知らされることになるでしょう。

なので今話題の「ラジカル」,
価格はシリコン以下で耐久性はフッソに近い
というのですが,
そんなわけないだろ
としか思えない私的には まだ怖くて使えません。

(何度か質問されたことがあるので この際ついでに書いておくと
我が社のシーリングと外壁塗装は特別なので30年もちます
と豪語している大手ハウスメーカーの人達は
疑いなく鵜呑みにして住宅ローンを抱えた施主さんが
将来裁判を起こす可能性を想像してないのでしょうか?)

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って,また 阿部塗装店の紹介 という本題から
ズレちゃいましたけど,
阿部塗装店は石巻市にありますが,
仙台なら営業範囲内 ということなので
仙台市できちんとした塗装業者をお探しの方,
私から強くおすすめしておきます。

また,ケレンや洗浄など,下地処理に関する資料として
阿部塗装店のHP・ブログYouTube
同業者から見てもたいへん参考になりますから,
「これから」の若い職人さんにはぜひ見てもらいたいと思います。
 
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2016年09月06日

最新刊「仕上げデザイン究極ガイド 最新版」

ずっと以前から,当店HPのトップページ上で,2行,
「建築知識」という月刊専門誌との関わりを記載しています。


そもそもの始まりは15年前,
「建築知識」2001年9月号での当店HPの紹介記事でした。
(15年前は,当店HP以外で工事記録がある塗装業者のHPは
ほとんど存在していなかったので結構目立ってたと思います)


最初の原稿依頼は「建築知識」2002年8月号「塗装特集」でした。
この時のことはこのページに書いてありますが,
依頼された量があまりにも多かったので,
得意分野を持つ同業の知人数名を編集の方にご紹介しました。
塗装特集なだけに,塗装職人的には最も充実した内容だと思いますが,
とっくに品切れで もう手に入りません。
  ↓
「建築知識」2002年8月号


それから「建築知識」2004年4月号「建築用語集」の中の
塗装工事の項への原稿提供。
(この雑誌はその後,当店の新人職人に貸したまま
そいつが辞めてしまったため,手元になく,写真が載せられません)
(浜崎君,生きてますか?生きててこれ見てたら返してください)

ここまでの2件の原稿はその後,再編集して
HPの「塗り替えQ&A」に分散してあります。

この後も,「建築知識」の出版元であるエクスナレッジ社より
2008年10月刊「iA(インテリア/アーキテクチュア) Vol.11
左官&塗装仕上げの技法100+1」に原稿・資料を提供。
(この時も,得意分野を持つ知人数名を編集の方にご紹介しました)
  ↓
「iA Vol.11 左官&塗装仕上げの技法100+1」

「iA Vol.11 左官&塗装仕上げの技法100+1」見本誌送り状


以上4回の後,さらに以下6回の6冊。
但し,以下の6冊は,ほぼ上記の3冊の記事の再録です。


2008年10月刊「建築現場大辞典 写真帖+DVDビデオ (建築知識) 」
塗装工事用語集の再録です。
  ↓
「建築現場大辞典 写真帖+DVDビデオ (建築知識) 」

「建築現場大辞典 写真帖+DVDビデオ (建築知識) 」塗装工事の項




2011年2月刊「仕上げデザイン 究極ガイド」
(これは「iA(インテリア/アーキテクチュア) Vol.11
左官&塗装仕上げの技法100+1」の再録本なのですが
再録の許諾を問うメールは来ましたが
見本誌を送付された記憶がなく,手元に現物が見当たりません)
  ↓



2015年3月刊「木造現場ポケット用語辞典」
これも塗装工事用語集の再録です。
  ↓
「木造現場ポケット用語辞典」

「木造現場ポケット用語辞典」塗装工事の項




「建築知識」2014年11月号「超イラストで全部わかる新しい建築現場用語」
これも基本的には過去記事の再録ですが,わずか見開き2ページで
新人設計士のために塗装工事の最低限の知識を詰め込んであります。
編集者の方がたいへん熱心で優秀だったので,
2ページにしては上出来と思います。
  ↓
「建築知識」2014年11月号

「建築知識」2014年11月号塗装工事の項




2016年3月刊「超図解でよくわかる建築現場用語 完全版」
これも塗装工事用語集の再録です。
  ↓
「超図解でよくわかる建築現場用語 完全版」小包

「超図解でよくわかる建築現場用語 完全版」見本誌送り状と謝礼

「超図解でよくわかる建築現場用語 完全版」

「超図解でよくわかる建築現場用語 完全版」塗装工事の項

「超図解でよくわかる建築現場用語 完全版」執筆者一覧




そして,最新刊が
2016年7月「仕上げデザイン究極ガイド 最新版」
(これは「iA(インテリア/アーキテクチュア) Vol.11
左官&塗装仕上げの技法100+1」の再録本です)
  ↓
「仕上げデザイン究極ガイド 最新版」

「仕上げデザイン究極ガイド 最新版」関連記事扉ページ



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「再録」とは言っても,その都度,きちんと連絡が来て,
担当者によっては何度もメールが往復して
直すべきところは手直ししていることが多いです。

しかし,以上のうち,誠に遺憾ながら何かの手違いで
最新刊である「仕上げデザイン究極ガイド 最新版」には
私の修正稿があまり反映されていません。
もし購入して「アレ?」と思った方は
当方にご連絡いただければ,修正稿をメールでお送りいたします。
(これが今回の記事の本題です,実は。)

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それから,最近,エクスナレッジ社とは別系統の
専門誌からご連絡をいただき取材を受けまして,
サイディング改修に関する技術的な記事が
顔写真入りで載る予定になっており,
無事発行されましたら このブログにて
またご紹介させていただきたいと思います。

ただ,残念ながら書店売りしてない専門誌なので
年間契約の定期購読者しか入手できないんですけどね。

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(以前にも書きましたが)最後に念の為申し上げておきます。
業者のHPで「マスコミから取材されました」と書いてあったり
雑誌等に外壁塗装に関する連載記事を書いてたりするのが,
「実は掲載料を支払っている広告」というパターンとは異なり,
上記は最大5万円の「原稿料をいただいた執筆活動」です。
(再録=使い回しのときは 見本誌のみ〜10,000円ですけど)

かかる手間から考えたらぜんぜん見合わない対価ですが
少しは塗装工事に関する啓蒙活動にはなるでしょうし,
個人的に記念にはなるので,まあいいか,と思ってます。
名前入りの出版物は捨てない限り曽根家に残り続けるわけで。

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2016年08月22日

カラーベスト屋根の棟の対処&空調服

いやー,梅雨時期よりも天気悪いですね,関東。
そのお蔭で新記事書けるわけですけど。

一週間ほど前に新しい動画を公開しました。
前回公開の動画とこの動画の間に限定公開で3本動画があるのですが
「時事ネタ」を含むため,これを先に一般公開しました。

まずはご覧ください。
「カラーベスト屋根 棟板交換【曽根塗装店】」(8分)



屋根の頂上部を「棟」といい,
カラーベスト屋根(コロニアル屋根)の場合は
トタンが使われていることが多いです。
このトタンを「笠木」とよぶ場合もありますが
正式には「棟包み板金」といいます。
  ↓
カラーベスト屋根(コロニアル屋根)の棟

寸法関係は正確ではありませんが,断面図を作成してみました。
  ↓
カラーベスト屋根(コロニアル屋根)の棟の断面図

トタン「棟包み板金」の内側には
「棟板」または「笠木」もしくは「貫板」とよばれる木材があり,
トタンの側面から釘で固定されています。(赤丸囲いの釘)

その釘は通常「スクリュー釘」といわれるタイプで
その所以のギザギザがあるため抜けにくくはなっているのですが,
年数が経つと徐々にこの釘が抜け出てくることが多いです。
  ↓
棟包み板金の釘の緩み

釘が出てきている状態をあまりに放置すると,いずれ釘が抜け落ちて,
最悪の場合,台風などで棟包み板金が吹き飛んでしまうことがあります。
足場の上から ご近所の屋根を撮影した写真で,
実際に棟包み板金が無くなってる例です。
  ↓
カラーベスト屋根の棟包み板金が脱落


また,出てきた釘の頭を引っ張ると簡単に抜けてしまうことがよくあり,
その理由として,釘が棟板に対して水平ではなく斜めに打たれていて
「抜けてないだけで効いていない」というNGな状態であることが
ヒジョーーーに多いです。(経験上,その確率は70%以上です)

こんな具合に
  ↓
棟包み板金の釘の打ち方不良 写真

マウスポインタを乗せると図が変わります。
  ↓

棟包み板金の釘の打ち方の違い

ちなみに,NG(No Good)な打ち方の場合には
角度的に釘を伝って棟板まで雨水が浸みやすくなると思われ,
後年,釘が余計に抜けやすくなるようです,経験的に。

逆に,GJ(Good Job)な打ち方の場合,
20年過ぎていてもしっかり釘が効いていて何ともないこともあって
「この釘を打った屋根職人は真面目な人だったんだなぁ」
としみじみと感心することがあります。
(残念ながら そんな家は滅多に無いですけど)

昔は,釘頭が多少出てきていても,あまり考えず,
ただコンコンと打ち込んで,そのまま塗ってましたが
追跡調査の結果,打ち込んでも また出てくることがわかったので
現在はステンレスのビスで打ち替えることにしています。

ビス打ちにしなくても,出てきている釘を一旦抜き取り,
GJな打ち方に変更してもいいわけですが,
トタンの内側の棟板の厚さは15ミリ,
その厚さの真ん中を狙って正確に水平に釘を打ち込むのは
(やってみるとわかりますが)案外難しく,
私的にはビス打ちに換えちゃったほうが簡単です。
それに釘とは比較にならないくらい緩みにくく確実でもある。

使用するビスは下穴無しでスパッとトタンを突き通す
「板金オールラウンドビス ステンレス 3.7×40」がおすすめです。
(もちろんインパクトドライバー使っての話です,為念)
このビス,現時点では「Amazon」での取り扱いが無く,
ネット販売していても なぜか価格が高めなので
建築資材店やホームセンターで探してください。
  ↓
スクリュー釘とステンレスビス

板金オールラウンドビスステンレス 箱

当方,ばりばりのA型なのでw もう少し細かい話になりますが,
ビス打ちの位置はもともと釘が打ってあった位置よりも
少しずらして別の位置にした方が効きます。
  ↓
棟包み板金のステンレスビス留め後

棟包み板金のステンレスビス留め後のアップ

釘を抜いた跡の穴は,
「ポリパテ」か「クイックメンダー」で埋めます。
「クイックメンダー」で埋めた後の写真です。
  ↓
釘穴を埋めた後


で,私の場合,ステンレスのビスで打ち替える際,
釘を抜くついでにトタンをめくって「棟板」の状態を確認しています。
  ↓
カラーベスト屋根の棟木の状態を確認

カラーベスト屋根の棟木の状態を確認 別アングル

私の経験上,築15年を過ぎると,
「棟板」が腐っていることがあるので。
  ↓
棟木の腐食:築15年

棟木の腐食:築16年

全部交換なら本職の屋根工事業者を呼びますが,
部分補修の場合は私がやることもあります。
今回の動画のお宅は数量が少なかったので私がやりました。

棟板は通常は杉材の板で「貫板」という名前で売っており
伝統的な規格で寸法が決まっているようで,
厚さ15mm×幅90mm×長さ3650mm,ホームセンターで買えます。

「ACQ加工」といって,腐りにくくするために
あらかじめ薬剤で防腐処理してある板も存在しますが
売ってたり売ってなかったりするので,
今回は既存と同じく無処理の板を買ってきて
余っていた木材保護塗料を表も裏も3回たっぷり塗りました。

(※木材保護塗料とは「キシラデコール」に代表される
色付きの防腐防虫剤とでもいうような塗料です)

通常は塗装間隔12時間程度なので1日1回しか塗りませんが,
この場合,本当は塗料の中に浸してしまいたいくらいなので,
含浸させるべく吸い込んだところでさらに重ねてしまう塗り方をして
翌日でもベタベタしてます。
  ↓
貫板に防腐防虫塗料塗付1回目

貫板に防腐防虫塗料塗付2回目

貫板に防腐防虫塗料塗付3回目

ついでに書くと,「タフモック」「エコランバー」という名称で
プラスチック製の腐らない貫板が存在します。
ただ,厚さが18mmなので,部分交換の場合は
既存の貫板(15mm)と厚さが合わないため
私は使ったことがありません。
(もし厚さが合うものがあったとしても,
いずれ葺き替えのときに全交換するので
部分補修では必要ないかな,と思います。)

さらにもうひとつ,ついでに書いておくと,
10年以上前の私がそうだったように,
出てきている釘を打ちこむくらいで,それ以上のことはしない
という塗装業者・職人が圧倒的に多数派だと思います。
そもそも,普通は見積書にこんなことの記載は無いですから,
やらなくても「手抜き」にはなりませんし。

業者の立場としては,
下請なら めちゃめちゃ叩かれるのが当たり前,
元請でも 世知辛い価格競争に曝されるのが普通なので,
他社がやらないことをやる結果として利益が減ったり
その分価格を上げて成約率が落ちたりすることは
好ましいことではなく,避けて通るのが当然でしょう。

ですから,塗り替え工事を依頼する施主の立場の方には,
どの程度のことまで気にして工事する業者なのか,
見極めるのは無理でも 感触を掴んでから発注する必要がある
と思うのであります。

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書き始めたら ついつい長くなってしまいましたが
最後に「時事ネタ」です。

そう,動画の終わりの方に出てくる「空調服」です。
3月に加入した相方があまりにも汗かきなので
半額経費で出すから「空調服」買ってみれば?と提案。
相方が調べ倒して購入したのがこれです。
  ↓
空調服(ポリエステル)

空調服のファン

試着させてもらったところ,これが想像以上にイイ。

暑いんだから熱風が通るだけじゃないかと思っていたら
そうじゃなく,汗を乾燥させて気化熱を奪うわけです。
(よって,汗かかないと効果が薄い)

「マキタ」や「タジマツール」という大手からも
この類の製品が発売されていますが,
相方が買ったのは空調服の元祖?「アゼアス」のものです。

私が一番気になったのはバッテリーの重さと大きさなのですが,
マキタの14Vバッテリーと比べるとはるかに小ぶりで軽く
身に付けていても思ったほどは邪魔にならないです。
(逆にいうと,マキタのバッテリーの場合,
これ腰に付けるの?と想像しただけでゲンナリするので,
軽量小型の専用バッテリーを作らないと空調服の普及は難しいと思います)
  ↓
空調服のバッテリー(アゼアス製)の重量

マキタの14.4Vバッテリー

で,私も同じく「アゼアス」のものを買いました。
相方が買った服がポリエステル製であるのに対して,
私が買った服は不織布で,フード付きです。
汚れて捨てることになっても惜しくないように,と考えて
安い不織布のものを買ったわけですが,
質感が頼りなくて安っぽいので
次はポリか木綿の服を買うことにします。

ファンユニットは使いまわしで服だけ換えられるので
とりあえずお試しで買ってみるという人はこれでよいでしょう。
  ↓
空調服(不織布タイプ)



ファンは2つ,デスクトップPCに付いてるようなやつで
バッテリー本体で回転数を4段階選べます。
  ↓
空調服の内側

空調服のバッテリー

取説には,最強の【1】とその次の【2】だと
ファンの寿命が短くなるよ,ということが書いてありますが
推奨の【3】【4】だと物足りない。
ファンだけ購入可能だから,ぶっ壊れたら買い直せばいいや
ということにして,【2】で使ってます。

※【1】だと「ぶ〜〜〜〜〜〜ん」と,結構ウルサイ。

※まだファンが回らなくなるまでは使ったことはないですが
 【2】でもフル充電なら8時間もつ仕様らしいです。

スイッチ入れると腰のところから入れた外気が
服の中を通って手首と首元から抜けていき,
フード被るとフードの中まで風が通ります。
そして,服は昔のダウンジャケットみたいに膨らんで,
一回りデブになったような感覚。

なので,服が結構 足場に引っかかるようになって,
破れるとマズイので慎重に移動するようになり,
それはそれで安全で,メリットと言えなくもない。

あまりにも高温だと塗装品質に支障が生じる恐れがあるので
暑さのピーク時に屋根塗りなんかしませんが,
外壁面はだいたい足場のシートに覆われていて
耐え難いほど暑くは無いですから,
使うとしたら,やっぱり屋根でしょうね。
(そう考えると,塗装屋よりも逃げ場がない防水屋とか
屋根屋とかに向いている商品のような気もします。)

空調服があると,無い場合よりも快適に仕事ができます。
冷感スプレー併用でターボ掛けるとさらに。
  ↓
「シャツクール」と「どこでもアイスノン」」

個人的には,「シャツクール」に比べて やや強い感じがする
「どこでもアイスノン」がおすすめです。



すでにツクツク法師が鳴き始めて,夏の終わりが感じられますが,
関心のある方は残暑対策でどうぞ。
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2016年01月04日

2016年が始まりました。

年が明けて数時間後,いつものように家族で近所の神社へ。

2016年1月1日5時8分撮影
         (2016年1月1日5時8分撮影)

運勢は「小吉」。

 晴れ渡る 月の光に うれしくも 行く手の道の さやかなりけり

だそうです。

クリスマス前に最後の現場を終えてからは ほぼずっと
車も洗わず事務所もグチャグチャのまま 見積書を作ってます。

8通あった見積書があと3通になりました。
でも,向こう1週間で 3通増えます。

そんな調子なので,
2015年はたった1つしか記事を書きませんでした。

それでも,今年は少なくとも6回は更新したいな,と思っています。
ネタはものすごくたくさんあるので。

本年もよろしくお願い申し上げます。

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<店主> at 02:18コメント(0) 

2014年10月11日

新メンバー紹介

2代目の私は他店で勤めた経験が無いまま親方になってしまったので
オヤジから引き継いだ当初はまさに「井の中の蛙」だったと思います。

しかし,ふとした思い付きでHPを開設したことによって,
その後今日までの約15年間で全国の多数の同業者と
知り合うことができました。(その数100人以上)

世の中にはいろいろな事情のもとでいろいろな仕事があり
それをいろいろな人がいろいろなことを考えながらやっていて
誰もが私が知らない何かを知ってたりします。

特に,曽根塗装店の受注状況がたいへん不調だった2006年には
複数の知り合いの現場に一職人として参加させていただきました。
そのリアルな経験によって,電話やメールでやり取りをするのとは
まったく比較にならないくらい非常に多くの知見を得ました。

所謂「カルチャーショック」というやつです。
「そうか,そのためのスランプだったのか!」と思ったほどです。

つまり,自分の位置というかベクトルがわかってきたのは
知り合うことができた多くの同業者のおかげに他なりません。
どこまで行っても自己確認でしかないかもしれないとしても。


これまで,自宅から他店の現場に通っただけでなく,
他県の知り合いのところに泊まり掛けで参上したこともありますし,
逆に他店の親方に,泊まり込みで応援に来てもらったこともあります。

同じ屋根の下で同じ釜の飯を食った,今日までの当店滞在者は6名。
年齢も20代から60代まで,様々なタイプの人物がいましたけど
ギロンすることが最も多かったのが,5人目の寺沢君です。

ウザイくらい絡んでくる (笑)


私からすると,寺沢君の真骨頂は「費用対効果」の飽くなき探求です。
施主様からの視点,経営者からの視点,両方の意味合いで。

確かに,「費用÷耐用年数」(=CP)や
「利益÷労力」(≒作業効率)を極限まで向上させるべく努めるのは
経営者として当然のことだというのは私も認めます。

でも,それだけだと未来のロボットが人間を殺すのと似てる気がして,
どうも私的には“全面的な賛成”はできないのですよ。

もし不条理であるとしても,客観的には無意味や無駄の部分にこそ
当事者にとって掛け替えのない絶対的価値があるはずと思うので。

このあたりが寺沢君と私の尽きないギロンの源ではないか,
と考えています。


ある意味両極端ゆえに組んで仕事ができるということもありまして,
なななんと,
寺沢君は「季節限定の曽根塗装店メンバー」になった次第です。

そいつは一体何者なのか?と思った方は
寺沢君による「職人斯く語りき」をご覧ください。


  ↓ 今年の3月に,Googleの車に遭遇した寺沢君(右)と私です。
    (これ GoogleMapストリートビューからの写真です)

寺沢君と現場にてGoogleCarに撮られる

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それから,6月から加わった通年メンバーの古尾谷君は
ちょっと虚弱なのが玉にきずですけど私の新しい相方です。

古尾谷大輔の腰袋

かなり変わり者なので長続きしそうな気がします。
古尾谷君の作文もそのうちアップしたいと思います。

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最後に,尋常でなく見積書をお待ちの皆様,申し訳ございません。
年内に提出できるよう頑張りますので ご容赦ください。
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<店主> at 01:22コメント(0) 
店主
曽根匡史 1961年 A型

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